第129話:生きて帰る方法

凛音目線___

「凛音!そのまま蒼桜先輩の所行ってくれ!俺が牽制するから!」

「分かりました。」と言っても雨梨先輩が後ろで苦しそうな声を漏らしている。

「凛音…大丈夫だから…馬の上に居るぐらい…できるよ。」

「先輩…。」強がってるだけだ。だけど、今羅希先輩が敵を引き付けているし、奇龍先輩が牽制している間に蒼桜にいの所に行かないと。

「凛音、行って…。」

「分かりました…。」

 馬から降り、雨梨先輩が馬上から落ちないことを確認し、蒼桜にいの元へ走る。

 倒れてる蒼桜にいの口元に耳を近づける。

「呼吸してる。生きてる。蒼桜にい!」目を薄ら開けたけど意識は朦朧としている。私の力だと運べない。

「凛音。」

「玄!」

「蒼桜先輩どうした?」

「殴られて首を絞められて、意識あるけどしっかりしてなくて…私じゃ運べないの!助けて玄!」

「落ち着け。分かったから。」

 蒼桜にいを2人で肩を持ち、安全な所まで連れていく。

「蒼桜先輩、分かりますか?…本当だ。意識が朦朧としている。」

「玄、あと雨梨先輩が!」

「雨梨先輩、手首…。」玄の顔が一層険しくなる。

「ごめん、やっちゃった…。でも蒼桜先輩頭打ってたし、先輩を先に…。」さっきより顔色が悪い。二人とも急がないと…。玄は騎馬兵団じゃないから馬での撤退は出来ないし、救護班がここまで来れるとは思えない。どうしよう。

「くそ…。あのバカが来れば退却出来るのに。とりあえず凛音はここにいて。あのバカ援護してくる。雨梨先輩、まだ撃てますか?」

「数発なら…。」

「よし。凛音と居てください。」

 玄は走り去って行った。どうしよう。どうしたら2人は助かる?焦る気持ちを鎮めるように

「凛音…。」

「蒼桜にい!」

 蒼桜にいが少し私の手を握ってくれた。大丈夫生きてる。帰らなきゃ。

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