第62話:他人のあたたかさ

蒼桜目線__

 もちろん家族には了承を得ている。自転車の後ろに乗せて山を下っていく。よく凛音を送ったあとここを飛ばして降りていった。

「ねぇ、約束覚えてる?」

「もちろん!花火大会!浴衣着ていこうかな!凛音は?」

「内緒!」


 家に着くと

「蒼桜おかえり!…えっと凛音ちゃん?」

「はい!四月一日凛音です!」

「緊張しなくていいよ。俺の姉ちゃん。」

「栞です!蒼桜とは結構年が離れているからもう嫁に出てるの!まぁ入って!」

「おじゃまします!」

「栞~重いから手伝って!」

「志麻は力ないなぁ~待ってて!」

「あの人は?」

「あぁ、ねえちゃんの旦那さんの志麻さんだよ。結構有名な料理人なんだよ!」

「蒼桜、そこにいないで凛音ちゃんを通してやれ!

 あ、父です!」

 どーもと父さんが中庭から顔を覗かす。

「初めまして!」

「あら、始めまして凛音ちゃん!そうだ蒼桜、これ運んで!」とキッチンから串がたくさんもっているお皿を出す。

「はーい!あれが母さんだよ!」

「手伝います!」

「いいよ、ここ座ってて!」

「そうよ!」

「じゃあお言葉に甘えて。」

「結構礼儀正しくていい子じゃないか!あ、そろそろいいぞ!」

「ドリンクも出来ました!」

「凛音おいで!BBQだって言うし、こんなに食料あるなら凛音誘おうかと思って!」

「ありがとう!」

 わいわいしながら話題は俺たちのことに

「凛音ちゃんって蒼桜とは小学校から一緒なんだって?」

「はい!」

「こんなやつのどこがいいのかー!」

「姉ちゃん。」

 どこの姉も余計な事を言うのは変わりないのかな?と身近な姉弟を思い浮かべる。

「はいはい。まぁ今日は楽しんでね~志麻!」

「はい!」

「志麻、もっと焼きなさいよ!」

「えっ!待ってよ!」

 会った時少し元気無かったけど今は元気みたいで良かった。


「今日は来てくれてありがとう。」

「こちらこそ誘ってくれてありがとう!」

「じゃあまた連絡するね!」

「うん!」

 凛音の家の前で別れる。手を振る凛音…。大きくなったなあなんて、おっさんじみたことを思いながら昔と同じように坂を下って行った。

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