第61話:飛び出した


凛音目線____

 また倒れたのか…。と部屋の天井を見つめたまま時間が過ぎていく。感情が高ぶると体の力が抜け意識もなくなる。特に負の感情が強く現れた時はほぼ必ず起こる。発作が起こるたびに闇に吸い込まれるようで怖い。まあ倒れても正直起きた後は、寝たという感じなんだけどな。

「凛音入るぞ。」

「うん。」さっき喧嘩した父親が部屋に入ってくる。

「大丈夫か?」

「うん。また倒れたんだよね?」

「あぁ。病院にまた検査に行くか?」

 私の持病は命にかかわるものじゃないけど、その病気の検査などは大病院に行かないとできない。実家からは遠いな。

「いいよ。何回しても同じだし。それにするなら学校からの方が近いし、学校始まってから行くよ。」

 視界の隅で携帯が光る。通知が入ってるんだ。

「なにかあったら呼ぶんだぞ。」

「うん。」

 携帯には蒼桜にいの通知が表示されていた。

「もしもし。」

「もしもし、忙しかった?」

 倒れてたなんて言えないな。

「ううん。どうしたの?」

「今家出れる?」

「え?」

「忙しかったらいいんだけど…。」

「出るよ!!」

 もしかして…。すぐ必要な物を持って

「友達と出かけてくる。」

「凛音!」

 正直お父さんと今顔合わせていたらまたケンカしそうで家を出る。

「えっと門から山降りてきて。」

「今降りてる!」

「凛音!」

「蒼桜にい!!」

「凛音いい子にしてたか?」

「うん!」と頭なでなでしてもらう。蒼桜にいの手はあたたくてほわほわする。

「ねぇ、うちの家に遊びに来ない?」

「え?いいの?」

「もちろん!」

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