第7話:同期と班長と

羅希目線――

「班長珍しいじゃん、こんな時間に呼び出すなんて。」

「凛音が同室で大丈夫かなって…!」

「凛音はいい子だし、きっと大丈夫でしょ!というかまだ初日だから分からないんだけど…!」

「そういうことじゃなくて…。」

「昔のこと?」

 自分の声が無意識に低くなった。

「あぁ。」

 蒼桜君の目はすぐに感情を映し出す。分かり易い。

「大丈夫。昔みたいに戦場からも蒼桜君からも逃げないから。」

「無理しないでよ。」

「分かってる。」

 少しの沈黙の後、

「ところで教官から話聞いたか?」

「班編成の見直しってやつ?」

「うん。」

「聞いたよ。教官達は私を班長にしたがってるみたいね。」

「一騎当千の班編成にするってことも?」

「もちろん。でも、断った。」

「なんで?」

「この班が好きだから。蒼桜君が班長しているこの班がいいの。」

「そうか…。」

「それに蒼桜君相手だから言えるけど…怖いのよ。」

 じっと私の言葉を待ってくれている蒼桜君の目からつい目線をそらす。

「その班は特攻隊や先鋒としていつも戦場の前線にたつと思う。私はそこで同級生や後輩を死なせることになるから…私は弱いから見れないんだ。いや、見てられないんだ。戦士であるなら必ず通る道なのにね。」あの日と変わらない夜空にみたいな夜空を見上げる。星がまた見えない。雲がかかっているんだろうか…。

「それは羅希弱いからってわけではないと思うよ。」

「そ…ら君」

 自分の声が震えていた。それに気づかないフリをして、

「大丈夫。」と言った。

 あの日にも聞いた「大丈夫」という言葉。視界が曇ってしまうでしょ。

「蒼桜君は忘れないよね?あの日のこと。」

「うん。もちろん。」

「も、もしまたあんなことになったら…また慰めてくれる?」

「もちろん。今するよ。」と言い、私が落ち着くまでずっとやっていてくれた。


 すっかり門限ギリギリになってしまった。静かに部屋に入ると寝息を立ててる凛音。

「疲れるよね…お疲れ様。」といい布団を掛け直してあげる。先輩達も一年の時の私達をこんな風に見てたのかな?


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