第8話:兄貴分と彼氏


蒼桜目線――

 ふと、外を見ると一年生が体育をしている。そこにはポニーテールの女の子。凛音だ。兄貴分な自分的にも心配な所が多い凛音だが上手くやってるようだ。家の事情や過去を知ってる人がいる田舎よりいないこっちの方がのびのび凛音らしくやっていて安心する。心配しすぎたかと思い授業に意識を戻す。すると机の上に紙が置かれる。黒軍の大学の合格がほぼ決まっている羅希と自分はそこまで真剣に聞かなくていいとしても羅希からの手紙は珍しい。開いてみると

『凛音のこと心配?』と書いてある。

『もちろん。兄貴として班長として心配するのは当たり前でしょ?』

『班長は優しいね。』

『そんなことないよ。羅希も後輩達に優しいじゃん。』

『そんなことはないよ。年下っていうのもあるからねー!だから同級生には嫌われてるじゃん?』

『そうかな?なんだかんだいって優しいと思うけどなあ。もし嫌われてるとしても、他の人が羅希のこと理解しないだけだよ。俺はずっと仲間として側にいるよ。」

『ありがとう。本当蒼桜君は蒼桜君だね。』

『どういう意味?』

『そのまんまの意味よ。』

 4限の終わりのチャイムがなる。

「班長、昼行こう!」

「うん!」

 羅希は俺が班長になってからは何故か班長って呼ぶようになったし、二人きり以外で蒼桜君と呼ばなくなったよな…。

「何?どうしたの?早くしないと混むよー!」と来ない俺に振り返る。

「別になんでもないよー!今行く!」と後ろを追いかける。クラスメイトは羅希と俺が付き合ってるって思ってるって友達から聞いた。だけど羅希は昔みたいなことはもうほとんどなくて、今は頼り甲斐のある仲間っていう認識しかないんだよな。

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