第6話:からかい


雨梨目線――

 夕飯は厩舎ののりで班で食べることになった。

「わぁ!おいしい♪」嬉しそうに食べる凛音。

「だろ?寮の飯はうめぇーんだよ!」そしてなぜか作ったのは奇龍じゃないのに誇らしげな奇龍。

「って奇龍先輩!?食べるの早くないですか!?」すでに半分食べてるよ…っていうのが顔に書いてある。

 凛音わかりやすい。

「そうか?」

「凛音気にしたらダメよ!奇龍の早食いは黒軍1なんだから(笑)」

「ちょっ!ねえちゃん!」

「えー!凄いですね!」

「お、そうか?」えへへっと笑う奇龍。それよりもしかして凛音って天然?羅希先輩の冗談気づいてないよ。蒼桜先輩と一緒なあたりが兄貴分と妹分だな…。

「凛音、もちろん冗談だよ。奇龍の早食いは凄いけど流石に黒軍1ではないんじゃないかな?たくさん早食いできる人いるし!」

「そうなの!?」

 蒼桜先輩のおかげでなんとかネタバレしたから、誤解は解けたかな?

「ねえそういえば、なんで凛音は軍に入ったの?」と羅希先輩が軽く聞く。

「強くなりたかったんです。」凛音の表情が変わる。

「強く…?」

「はい。」

「私いつも弱くてずっといじめられてたんです。そしていつも蒼桜にいが助けてくれたんです。」

「凛音は何も悪くなかったんだし、助けて当然だろ?」

「そんなセリフを普通に言えるくらい強くてかっこいい蒼桜にいみたいな人になりたかったんです!」

「へー!」ニヤニヤとした羅希先輩が蒼桜先輩を見る。照れたように蒼桜先輩は頬を赤く染めていた。勝手にほのぼのとしていたら

「ねぇ、凛音。班長のこと好き?」

 羅希奇龍と蒼桜先輩が同時に吹く。当の凛音はなんで吹いたかわからないような表情で

「好きですよー!」と言う。

 その答えに蒼桜先輩は恥ずかしくて下を向き続ける。奇龍なんか鼻血でも出しそうなほど顔が真っ赤だ。

「そう、私も好きだよ!」問題発言…。ちょっと羅希先輩?

「やっぱりそうですよねー!蒼桜にいってみんなに優しいし、かっこいいですもんね!」そういうことじゃなくて…。なんかもう心の中でつっこむのもめんどくさい。

「どう思う?」そんな中で羅希先輩の質問はまだ続く。もう蒼桜先輩と奇龍が真っ赤で死にそうだから部屋に戻してあげてもいいかなと同情する。

「お兄ちゃんって感じです!」やっぱそうきたか…。「他には?」

「他ですか?」意図が読めないのか不思議そうな顔をする凛音。

「まぁいいや。まぁまだお子ちゃまだし、わからないか…。」と勝手に納得する羅希先輩。

 少しの変な沈黙後。僕は耐えられず

「凛音はまだ染まってないから…。」という僕自身もよくわからないフォローをしてしまった。

「雨梨いつからいたの?」

「そう、私も好き―――」

「あーこれ以上言わなくていい!なんか恥ずかしくなるじゃん!」遮って言う羅希先輩だけど…これだけ男子2人を真っ赤にさせた人が言うセリフか?

「すみません…実はその前にはもう居ました…。だから話は全部聞きました。」

「そういえば雨梨先輩は蒼桜にぃのこと好きですか?」凛音の聞いてるのは恋愛をのぞいた好きという気持ち…だよね?

「僕は…そのそういうことは…。」もちろん先輩として好きだけど言うのは恥ずかしい…。

「雨梨照れんなよ!俺は大好きですよ!」

「奇龍はべったりだから…僕がみてもわかる。」

「はぁ、道のりはまだ遠いか。」まだ言ってる…羅希先輩。この人はたまによく分からない。

「じゃあもうみんな食べたし帰ろう!」

 あ、蒼桜先輩無理矢理話を終わらせた。

「はーい!」

 と片付けにいく僕らを見て

「班長あの子最高ね!」と言うのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る