第5話:先輩と馬

凛音目線――

 荷物も届き311号室へ。顔合わせの時にメガネでニコニコしてた九万里くまり 羅希らき先輩と同室になった。九万里先輩は三年生で、副班長している先輩。武器は長刀みたい!カッコイイな…!


 羅希先輩にも手伝ってもらい、荷物を片付けた時。

「ねぇ厩舎きゅうしゃ行かない?」

「いきます!」

「そうこなきゃ!」と連れて行ってもらった場所はかなり広い厩舎だった。

「あっ!」

「こんな子うちの軍の馬にいたかな?」

「私の馬なんです!」

「えっ…!?馬付きで入学したの?普通の高校から入ってきた一年生って馬に乗れないから、指導するの楽しみだったのにー!乗れるのかぁー(笑)」と頭をなでなでされながら言われる。

「へへっ…(笑)」

 蒼桜にい以外の人にされるとちょっと照れるよね。

「じゃあさ、ちょっと散歩しない?」

「はい!」と馬を出して散歩してると…。

「あれ?ねえちゃんと凛音!」

 あのオレンジパーカーを下に着ている先輩だ!確か奇龍先輩! …って、ん?ねえちゃん!?

「奇龍、せっかく女の子二人でお散歩しようと思ったのに、邪魔しないでよー!」

「え…ねぇちゃんって…。」

「あー言い忘れてた!このアホ丸出しのチビは私の弟なのよ!」

「ねぇちゃん!アホとチビはいらねーよ!」

「いるわよ、女の私より小さいとか、あんた本当に男の子なの?」

「こ、これから伸びるし!」なんか姉弟喧嘩が目の前で始まった。

「お二人って本当に仲がいいんですね(笑)」

「「どこが!」」

 あっとお互いの顔を見合わすのを見て、

「否定するタイミングもピッタリ!」と笑ってしまった(笑)

「羅希先輩、奇龍、喧嘩は実家でしなよ…。」そう言うのは、銀色のボブにバズーカを持っている先輩…確か雨梨先輩だっけ?

「雨梨ー。」と言う奇龍先輩をガン無視し、私に向かって言う。

「僕も…散歩行っても…いいかな?」

「もちろん!」

「えっ!ずるー!俺もいいか?」

「はい!」

「あーあ、凛音独り占めできないじゃない!」と笑いながら言う羅希先輩についていく。

「凛音の馬って青毛の馬だな!」

「はい!よく分かりましたね♪普通の人は青鹿毛と見分けがつかないことが多いんです。」

「そりゃ!騎馬兵団の二年だからな!」

「そういえば羅希先輩の馬は栗毛で、奇龍先輩のは黒鹿毛、雨梨先輩のは鹿毛って感じですか?」

「すげぇ…!」と言葉を失う奇龍先輩。

「凛音って馬に詳しいの?私の馬は基本的に鹿毛と間違えられるくらい鹿毛に近い栗毛だけど、ちゃんと見極められるなんて…。」と同じ表情をした羅希先輩。

 姉弟って本当に似るんだな。

 すると

「そりゃーここの馬はほとんどが凛音の家出身だもんな!」

「蒼桜にい!」

「遠くから班員の声がしたから来て見たら、みんないたんだな。」

「班長、凛音の家出身って?」

「凛音の家は馬を育ててるんだよ!そして黒軍に出荷してるんだけど、主に学生の方に回してるんだよなだから大和高等學館の馬は半分くらい凛音の家出身なんだ!」

「うん!」

「だから馬に乗れるのか!」

「奇龍、凛音は乗れるだけじゃなくて走るのがダントツで上手いんだ!だから多分、奇龍でも勝つのは厳しいんじゃないかな?」

「じゃあすぐに戦場に俺らと一緒に行く事になるんですか?」

「多分…。」少しにいの顔が曇る。

「まぁ、まだ先のことはわからないけど、よろしくね、凛音!」と羅希先輩がつかさず言う。

「はい!!!」


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【補足説明】班員の馬と馬の色

★凛音の馬

青毛あおげ

全身真っ黒の最も黒い毛色。


★羅希の馬

栗毛くりげ

全身が黄褐色の毛で覆われる毛色。鹿毛のように四肢の黒さはない。


★奇龍の馬

黒鹿毛くろかけ

黒みがかった鹿毛。四肢や長毛の黒さに対して胴体がやや褐色を帯びている。


★雨梨の馬

鹿毛かけ

最も一般的な毛色の1つ。鹿の毛のように茶褐色で、長毛と四肢は黒色を帯びる。


★蒼桜の馬

芦毛あしげ

灰色の毛色。生まれたときは灰色や黒、もしくは母親と同じ毛色であったりするが、年を重ねるにつれ白くなっていく。


(Wikipedia引用)

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