第一章 危機

『おらあああああどうしたどうしたー斬刃!刺突!』


アウゼスは楽しそうに剣を振るう、一回一回叫びながら、それも当たったら骨折や気絶するような急所ばかりを狙って。


「そんな喋りながら試合してたら舌噛むよ」


一件余裕そうなエレンだ30分以上試合し疑似身体強化も切れた今ではいつ試合が終わってもおかしくないぐらいギリギリの試合をしている。そんなエレンをつなぎとめているのは、負けたくないという気持ちだ。


筋肉の節々が痛む、一撃一撃を防ぐたびに身体が吹き飛びそうだ。アウゼスと試合するといつもこうなるんだよなー自信のある攻撃すべてをきちんと切り返しなおかついつも以上の剣速で剣をふるってくる。称号【剣術の天才】はだてじゃないようだ。アリスに回復してもらおうにも攻撃くらわないと回復しないのが試合のルールだ、今攻撃をくらったら確実に気絶する自信がある。


『刺突!』


そう叫びアウゼスは一直線にエレンに向かって剣を向かわせる。


いくら言葉で刺突と叫んでいるからとは反応するのはすごく難しい。戦技の時に発せられる戦技の名前は魔言と言い、戦技のレベルや使い手によって戦技が組みあがるのが早くなる。

必要な魔力を練り上げ、どういう風に発動するかを決め、魔言を唱えることで戦技は放たれる。


やばいこの速度の刺突だと受け切れても体が後ろに吹っ飛ぶ!剣先を剣の腹に当て少しずつ中心から外側に向かって剣をそらしていく。これで刺突をしのげたかと思いきや突然足元に衝撃を受け視点が一変する。


『よっしゃああああ決まったーーーー』

アウゼスは刺突と叫んだ瞬間剣から手を放し、すぐさま刺突の態勢を立て直してエレンの足を蹴ったのだ。初見殺しといってもいい技だ。戦闘中に剣を手放すという行為がどれほどリスクの高い行為か素人でも理解している。それを迷いなくここぞいうタイミングでするのはさすがとしか言いようがない。


『エレン大丈夫!? ちょっとアウゼスもう少し威力を考えなさいよ!』

倒れたエレンに急いで駆け寄るアリス、急いで回復魔法を唱えようとするがなぜか魔力が練りあがらない。


『あれ!?なんで魔力が組みあがらないよアウゼス!』

『アリス逃げろ、早く!』


いつも強気なアウゼスがすごいおびえていた。魔力が練りあがらないということよりも、アウゼスがおびえているということの方が異常に思えた。アウゼスの方を見てなぜおびえているのか確認しようとすると、アウゼスの視線の先に何かがいた。


そこには明らかに人間ではなく、親から恐怖の対象として教えられていた悪魔がいた。


『悪魔、、、、』


『おいガキども今そこに行くからな。【エクス・ダークネス・ブラスト】』

目に殺意を浮かべた悪魔が魔力を練りあげていく。悪魔から放たれる漆黒の魔力はとても不吉なものに見えた。


その瞬間半透明なオレンジ色の障壁のようなものが現れ子供たちの身を守った。。

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