第4話 魔法の基礎

 今日は待望だった魔法について教えてもらうことになっている。


「それじゃあ、魔法について教えていくわよ」


「お願いします!」


「それじゃあ、基本事項から」


 魔法と一口に言っても魔法と魔術の二つに分けられるそうだ。

 魔法は魔力を使って想像を具現化し、魔術は事前に書かれた魔法陣に魔力を流すことでそれに対応した事象を具現化する。

 魔法の発動は、想像 (詠唱)、魔力の消費(放出)、発動。

 魔術は魔法陣への魔力の流入、想像 (詠唱)、発動。

 魔法の利点は発動の速さと準備が楽。

 逆に魔術の利点は魔力消費が少なく済む。


 魔法と魔術の最大の違いは所謂、個人の属性と呼ばれるものの有無だ。

 個人の属性とは魔法が発展した殆どの世界で共通して聞く単語である。

 個人の属性とは言うのだが、これは先天的に取得した属性魔法スキルの事だ。

 属性魔法のスキル(例えば<火魔法><水魔法>など)は、基本的に先天的に取得するしか方法がない。

 その為、それぞれの世界でステータスが発見する前に付けられた個人の属性という名称で呼ばれ続けているそうだ。

 一方で、魔術に関してのスキルは殆ど存在しない。

 その為、スキルが無くとも発動に必要な魔力さえ賄えられれば発動は出来る。

 これならば魔術の方の利点が多いと思うかも知れないが、魔術は高度な魔法の魔法陣は精密かつ面積が広くなる傾向にあるので結局のところどっちもどっちだそうだ。

 魔術は、下層世界、中層世界、及び一般的に魔道具と呼ばれるもので使用され、魔法は上層世界、根源世界で使用される。


 次に魔法の属性についてだ。

 六の基礎属性として、火、水、風、土、光、闇。

 相性は火<水<風<土<火で光と闇はお互いに強い。

 そして、合成属性と言う特定の二つ以上の属性魔法をある程度使えるようになると自然と使えるようになる特殊属性があり、火と水で氷、風と水で雷の二つ。

 そして、基本属性の上に上位属性として、日輪、天、嵐、地、聖、魔性。

 ここでもまた合成属性として、日輪と聖の聖火、火と天と嵐で天候、日輪と天と地で地形、聖と魔性で混沌、そして全上位属性で虹(無)が存在する。


 属性はこれだけでは無く、固有属性と呼ばれる物もある。

 これは基本属性に属さない物や限定的な物で転移などの<空間魔法>や時間を操作する<時間魔法>、それ以外にも<精霊魔法><契約魔法><重力魔法>などだ。

 ただ、<精霊魔法>は少し毛色が違う。

 二つの魔法から構成され、『精霊召喚』という妖精や精霊を召喚する魔法と『精霊契約』という妖精や精霊と契約する魔法。

 精霊とは、基本的に自然の魔力で属性を帯びた物が意思を持ったものであり、自然の魔力を利用して魔法を使い、妖精は精霊の下位種族である。


 そして、最後に<想像魔法><概念魔法><完全魔法>と言う三種類の魔法がある。

 魔法は結局のところ想像を具現するものである。

 それを考えた上で全ての属性魔法の大本と言えるのがその三つだ。

 <想像魔法>想像した事象を魔法として魔力で具現化する魔法。具現化には消費魔力上限や起こす事象に関する細かな制限が多々存在する。

 <概念魔法>は概念に干渉するための魔法であり、同じく制限が存在する。

 そして、<完全魔法>は原初の魔法であり魔法に関する全てのスキルの大本。

 魔法系の複合スキルとも言い換えられ、全ての魔法スキルとそれの補助スキルの集合ともいうことが出来る。

 スキルでは想像する事象を制限なく具現化できる。

 <想像魔法><概念魔法><完全魔法>では、ある一つのルールが存在する。

 魔法としての体裁を整えること。

 つまり、魔法で起こす事象を一から順に規定して、詠唱と魔法名を決定することだ。

『ウォーターボール』の魔法を例にあげる。

 始めに魔力を水に変換し、約三十センチほどの球体まで圧縮。

 圧縮させた水球を自身の指定する直線方向に射出する。

 と言うものを規定した上で、詠唱として「水、集いて我が意に従え」、そしてこの魔法名を『ウォーターボール』と決定して始めて魔法として使用が可能となる。

 ただ、最初の規定はけっこう抽象的でも良かったりするが、詠唱に関しては消費魔力や規模に比例して文字数の下限が存在する。


 ここまでの全ての魔法はスキルとして規定され、スキルを所持していないと魔法としては絶対に使用することが出来ない。

 また、魔法にもそれぞれ階位と言うものが一から十まで分けられており、数字が小さいほど強力な魔法となっている。

 これは、スキルのレベルにも対応しておりスキルLv1なら十階位の魔法まで、Lv10なら一階位まで使用可能とそれぞれ対応している。


 最後に根本的な魔力についてだ。

 人が魔法を使う際には自身が所有する魔力を使用する。

 これは、消費しても自然に回復するので減ったらどうこうと言うものではない。

 魔力には指紋のように個別の波長のようなものがあり、自身の魔力でしか魔法を使えない理由は放出した魔力を魔法にする際のイメージを伝達するのに自然と自分の波長の魔力を目標とするためである。

 言い換えれば別の人の波長が分かり、そこにイメージを伝達できれば他人の魔力でも魔法を使えるがそんなことは不可能に近い。

 同じような理由で自然界に存在する魔力(波長が存在しないため)も使用不可能だが、これを自身の波長に整え魔力を回復させる魔法もあるが使う場合は魔力の収支を考える必要がある。


「こんな所かしらね」


「ありがとうございます。

 大体は理解できました。

 <完全魔法>辺りはびっくりでした」


「まあ、全能の魔法って言い換えても良いかもしれないものね。

 ただ、<完全魔法>を使えるのは現在で一部神皇と上位神だけよ」


「え、それだけなんですか!?」


「ええ。 

 魔法関連のスキルを全て取得かつうち大体八割位のスキルレベルを十にしなければならないからね。

 だから、一部の神って言うのは魔法を司る上位神と物理特化じゃない神皇ね」

 

「そうなんですか?」


「ええ。

 まあ、<完全魔法>の習得を目指して教えていくつもりではいるわよ。

 基礎も意外とできていそうだしね」

 それじゃあ、魔法についての基礎は一通りやったわよ。

 今日はこれで終わりにして次回から実技ね」

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