第6話 ステータスを、
「大分、熱心に祈っておられましたね」
女神(仮)との会話を終えて、顔をあげると、案内の修道士が近づいてきた。
「いえ……」
まさか、いろいろな説明を受けていたとは言えない。
「あれだけ熱心であれば、創成の女神 カレンタールも、お聞き届けいただけるでしょう」
さぁどうぞ、と言って修道士は案内を再開してくれた。
大分待たせたというのに、何事もなかったかのように。
修道士ってすごいな。
それに……そうか、カレンタール様というのか。
今度から、カレン様と呼ぼう。
手紙届けてくれるって聞いた瞬間から、敬語になっちゃったけど、案外僕ってチョロいのかな。
まぁいいか。
鞄にあるノートに、何を書こうか。
それを考えながら、ステータスを確認する場所に案内された。
「こちらの石板に手を置いてください。こちらのテーブルにあなたのステータスが出ます」
案内された小部屋には、向かい合う椅子の間にテーブルがあり、そのテーブルの左寄りに石板が埋め込まれていた。
「テーブルの表示は石板に手を置いている人にしか見えません。私はこちらの機械で、名前と適性職業、レベルを見てアドバイスさせていただきますね」
にっこりと笑う修道士に礼を返しながら、石板の前の席に座る。
聞かなかったけれど、剣と魔法の世界なのかな。
僕はここに来た時とは違う意味でドキドキしながら、石板に手を当てた。
――――――――――――――――――――――――――――――
[名前] サイカ・フタガワ
[年齢/性別] 16 / 男
[種族] 普人族 (異世界人)
[レベル] 1
[適性職業] 冒険者(異世界探索者)
[職業] 学生(従属士)
[HP] 2,000/2,000
[MP] 4,812/5,000
[加護/称号] 創造神の加護 / (神託者 招かれし者 )
[固有能力] 【他言語理解】【神託】
[能力]
護身術Lv4,体術Lv0,身体強化Lv0,テイムLv0,
全属性魔法適性,魔力制御,無詠唱,多重詠唱,HP/MP超回復,
全属性耐性,状態異常耐性,毒無効,精神攻撃無効,
(隠蔽),(擬装)
――――――――――――――――――――――――――――――
……どうしよう。
基準がわからない。
チラッと修道士を見る。
ご覧になれましたか?と微笑まれる。
「はい」
「まずはお名前ですね。ここが赤くなると罪科アリとなり、名前の後ろに犯罪歴が出ます。償えば赤くなくなりますが、犯罪歴は消えません。」
ぁ、犯罪歴ってそうやって見てたんだ。
すぐに判断つくようにかな?
……誰が判断してるんだろ?
「次が、年齢性別、人種ですね。まぁ、あまり重要なことではないので、こちらでは見ません」
うん、そうか。
あんまりそういう差別は少ない世界なのかな。
「次は、適性職業と職業ですね。適性職業は、生まれもってあなたに最も合っている職業、ただの職業は、今あなたが実際に今就いている職業です。『冒険者』は、『世界中の謎に挑み、知的好奇心を充たそうとする者』という、かなり広義的な意味合いを持つ職業で、実際にこの職業になる方は少なく、代わりに複数の職業を兼任される方が多いです」
自由度が高い職業なんだね。
カレン様の意向かな。
「自由を尊び、独特の発想と広い知識を持つ方が多く、歴史に名を残す方も、国が一目置くような人も多い。かなり尊敬を集める職業ですよ」
「わ、そうなんですか!」
急に恥ずかしくなった。
ただカレン様の意向で与えられただけで、自分がそんな大そうなものとは思えない。
「気負う必要はありませんよ。自らの思うままに生きてください。それがきっと、世界のためになります」
「は、はい」
「レベルが0なら、商人などをお薦めするところですが、1ですから、自ら戦闘力をつけて、世界中を旅することも可能でしょう」
ん? なんか今重要なこと聞いた。
レベル0?
「次にHPMPですね。HPは生命力、MPは魔力と言われています」
あ! 次の話にいっちゃった!
んーカレン様のインストールしてくれた常識関連情報に載ってるかな……?
「HPがなくなって治療されないまま暫く放置されると死に、MPがなくなると気を失います。普段私たちには見えるものではないので、体感で感じるしかないのですが、けして無理をされないよう、気を配ってください」
「はい」
そうか、ふつうはすぐにはわからないんだ。
スマホだけでもやっぱり得だなぁ。
「スキル関連は、非常に奥が深いので、神殿にある書物庫でステータスやスキル関連の初歩が書かれたものをお調べになった方が正確です。文字が読めなくても、書物庫の担当者に話しかけていただけば、読み上げと解説を致しますので、時間のある際においでください」
なんと、丁寧な!
すごいな神殿!
スマホにインストールがなかったら、是非来よう!
「最後に、加護と称号ですね。普通、ここは空白です」
うぐ! じゃあ、ここは全部隠しとかなきゃか。
「稀に、精霊からの祈りや祝福というものがつく方がおり、それは大変名誉なことです。それより上位の守護や加護というものは、もう伝説と言っていいでしょう」
絶っ対っに、隠さなきゃ……!!
「まぁ、あなたのような敬虔な信徒であれば、つくかもしれませんね」
修道士の微笑みに、僕は曖昧な笑顔を返した。
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