第3章 賊徒
賊徒
レクイカ隊は、国境地帯を更に、外へと向けて進めていた。
草地が狭まり、幾つかの林が群生している。
隆起が多くなり、丘陵帯と言えそうな箇所に差しかかった。
すると、横合いの木々から二人の男が姿を現す。
その容貌からするに、盗賊か山賊の類と見受けられた。
「おい、ひゃっほう。女だぜ」
「おうねーチャン止まりナ」
一人は手に斧を、もう一人は弓を背にしている。
「賊徒か! 我々に、かまうな!」
ミカーが隊の前に出て、牽制する。
「なんでい、口の悪いチビだな。せっかく挨拶してんのによ。ま、おれ達は無理矢理でもかまわねえんだが」
「けっへへ」
賊の二人は気に留めずに、間合いを詰めてくる。
「やめておきなさい」
レクイカが口を開く。
「どうして、こんなときに人間同士、争わねばならないのです」
レクイカは嘆いた様子で、
「あなたたちが人でなしの心しか持ち合わせていないのならば……斬ります!」
手を剣の柄にかけた。
「おい。なんだこいつら、よく見たら……もしかして国の騎士か?」
「ちっ食えねえ。甲冑を引っぺがすのは手間だしな」
賊らは渋い顔をする。
「男もいやがるな。男は要らん」
ミートは隊の右翼で、成り行きを見守った。
賊徒はさきまで好戦的な態度で迫ってきたが、こちらが騎士の一隊と知るとそれ以上寄ろうとはせずに様子を窺うに留めている。余程飢えているといったふうでもなく、二対多数で手を出してくることもないだろう。
「わかったなら、通しなさい」
レクイカはこれ以上無駄な口を利きたくないと言ったふうに小さく言い捨てる。
「フン。こんな硬そうな女は願い下げだ」
「それにしても、なんか気が立ってるねえ。お上品なお顔が台無しよ? 女騎士さんよお」
「そのボロボロな様子を見ると、例の雨に降られたのか? 仲間が、怪物に食われちまったのか、え?」
レクイカはぎりっと唇を噛む。
ミカーは二人を睨みつける。
「おー、こえーこええ。行こうぜ!」
賊徒は去った。
しかし、二人ということはなくおそらく集団でいるはずだと、警戒を強めた。
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