戦いの序幕
アマテラス…スサノオの姉という事と高天原を治める女王と言う点は伝説と同じ。アマテラスと言えばスサノオを恐れてわざわざ武装したり天の岩戸に隠れた気弱色が強いがここではちょっと勝気な女性設定。
八つの大蛇…八岐大蛇(やまたのおろち)ここではタケルの別の姿。伝説では酒好きと蛇にはあり得ない設定だがタケルは酒は飲まない(苦笑)
ーー*
オモイカネに神社に戻るように呼ばれ、神社に戻るスサノオ達。
オツキは帰り際も杖を振り回しながら遊んでいる。
「おいおい、人に当たったら危ないぞ!」
スサノオは横で遊んでいるオツキに軽く注意をする。
「誰もいないから良いもん!」
オツキはスサノオの注意にややむくれた表情で答える。
「さっきから俺に当たってるんだよ!少しは女の子らしく出来ないのか?」
「スサノオに育てられたんだから女の子らしくなんて私には無理だもん!」
「犬の時はすっげー可愛かったのになんでこんな風になっちまったんだ?」
スサノオがそう言葉をオツキに投げかけたところ、オツキは杖でスサノオの頭をパコンと叩く。
「痛っ!何するんだよ!!」
「言わないでよ!すっごい気にしてるんだから!!」
オツキが顔を真っ赤にして怒るのを見て含み笑いをするスサノオ。
「な、何がおかしいのよ!」
オツキがスサノオに聞く。
「お前の弱点見つけちゃったもんね」
スサノオはオツキの突然の怒りっぷりに笑わずにはいられなかった。
「ちょっと弱点って何よ答えてよ!」
「へん!教えねーよ♪」
そうこうしている間、これから起こる大事件に、スサノオ達が巻き込まれようとしていた。
場所が代わり高天原。
そこは優れた自然と文化を共同させた国であり、アマテラスと言う女王が国を治めていた。
高天原は倭国の中でも先進国の部類に入り、平和で治安も他の国よりも良かった。
そんな高天原に、不穏の空気が流れ混んで来た。
漆黒の八つの大蛇のようにも見えるオーラを放ったタケルが、他の化け物達を連れて、高天原に向かっていると言うのだ。
「悪名高いヤマトタケルと言う者が魑魅魍魎共を連れて高天原にやってくるとは、きっとこの国を乗っ取ろうとしているに違い無い!」
タケルの名は、高天原にまで知られていた。
遠くに見える黒い八つの首を持つ大蛇のような物体がこちらに近づいて来る。
兵士達は
「アマテラス様、地下にお逃げください!タケルとやらは私達が成敗致します!」
と言ったが、アマテラスは首を横に振った。
「いいえ、私も戦います。兵士達ばかりに負担はかけられない!」
アマテラスは鎧を身に纏い、刀を持って先陣を切った。
そしてタケルは
「ふん、アマテラスとやらが武装して身構えているのか、楽しくなりそうだ」
と邪険な笑みを浮かべながら高天原への道を歩く。
スサノオとオツキが、じゃれ合いをしている間、オモイカネが杖の中からスサノオ達に伝えにきた。
(スサノオ、お茶を濁すようですまないがタケルとやらが今お前の生まれ故郷である高天原へと向かっていると使いの黒猫が伝えてきた。)
高天原、スサノオの生まれ故郷であり、現在、魑魅魍魎を従え高天原を乗っ取りにきているタケルとアマテラス率いる高天原軍が戦いを繰り広げられようとしている所だ。
「何だって!?あいつまさか…」
タケルはもしやスサノオをおびき寄せる囮に高天原を利用するつもりなのかも知れないとスサノオは考える。
「どうにか出来ないの!?」
オツキはオモイカネに質問を投げかける。
(とりあえずは神社に戻れ、作戦はその時に立てる!)
オモイカネはスサノオ達に言った。
スサノオ達は、焦りを隠せないまま、神社へと戻った。
高天原ではアマテラス率いる高天原の軍とタケル率いる魑魅魍魎の軍が激しい戦いを繰り広げていた。
高天原の軍は弓矢や槍といった武器を駆使して白兵戦を繰り広げる。
しかしタケルの軍は人間より遥か上回る体力とスピードを持つ魑魅魍魎を率いる軍、弓矢や槍は効かず、魑魅魍魎達は兵士のみならず、一般の民も大きな口を広げてその肉を噛みちぎる。
鉄の兜でさえ、頑丈な牙で噛み砕いてしまった。
知恵は劣るが、身体能力は人間を遥か上回っていた。
「ハハハハ!人間の力はそんなものか!!」
タケルは魑魅魍魎の軍の方が圧倒的に押しているのに対し、むしろ人間の弱さに呆れを感じていた。
「駄目だわ…人間と魔物は体力に差があり過ぎる…そしてタケルは神の力を手にしている…もはや打つ手は無い…」
アマテラスは降参し、高天原をタケルに譲ってしまう。
高天原は血の海地獄と成り果てて、わずか数時間足らずで、タケルの手に渡ってしまった。
そしてタケルはその禍々しい神の力を使い、高天原を氷の要塞に変え、アマテラス含む生き残った民達を氷に閉じ込めてしまう。
「さあ来るが良いスサノオよ、そして貴様の勇気と力が如何な程かこの目で見極めてやる!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます