第一章
綱の上のユートピア
昨夜は目が冴えて眠れなかった。前世は二十五年。今生でもそろそろ成人間際なのに、小学生の遠足前夜のような体たらくで我ながら呆れる。
目を閉じて浮かぶのはあの晩餐会の夜にちらりと見たエンリケッタだった。
基本となる色や、顔のパーツの配置、それらはゲームの中と変わらない。一目で彼女だと判別できる。けれど、平面から立体になれば当然かわる。
どう変化したか。一言で言えば———とても美しかった。
整いすぎた、といっていい。まさに
きっと倒錯的な人間ならば壊さずにはいられない完全。
この世界は美男美女がほとんどだけれど、好意を抱いている贔屓目を抜きにしても、頭一つ抜けている。当たり前だ。この世界はヒロインのために創られ、悪役令嬢はそんなヒロインに相対する登場人物なのだから。
結い上げた髪は一部垂らされて金糸の飾りのように顔を縁取っていて、虹彩は白に限りなく近い灰色に見えた。けど、本当はごく薄い青だと知っている。
なんの話題だったのか、扇で口元を隠して笑っていた。
ほんの十秒にも満たない映像。それが何時間脳を支配したかわからない。
しかし、もし明日会って、想像と違ったら?
それはずっと思考の片隅にはあった懸念だ。マルタで目覚めてからこれまで、密約交渉に皇后に、攻略対象の捜索にと、先回りして手を打ち続けることに忙殺されていたため、優先度が低いから考えないようにしていただけで。
これは悪役令嬢が転生者であるかという心配と似て非なるものだ。転生者という完全なる別の人間ではなく、彼女が彼女でありつつも、ゲームと違ったらどうか。そういう話。
今日、似たような境遇のフィーとの話の過程で理解したことがある。
今の私は本の中の登場人物を理想化して、それに恋しているだけだ。
おまえのそれは恋じゃないとフィーには言われそうだが、恋ほど純化された感情ではないけれど、この執着も広く言えば恋だ。私は捧剣のエンリケッタに恋をしている。
けれど、現実となった彼女は決して物語の登場人物の通りではないし、それを押し付けることはエゴでしかない。
勝手に希望を抱いて、勝手に失望する、文字通り
まっすぐであろうとした翡翠ならば、そう否定するだろうか。
翡翠ではない私の昏い本音をぶちまけるなら、別に好きにすればいい、それだけなら私には関係ない。
そもそも勝手だと考える方も勝手じゃないのか?
人と人との関係なんて言葉一つ、もっといえば言葉が動かした考え一つで簡単に変わるものだ。
期待される行動をとり続ける義務は誰も持たず、期待した行動をとり続けさせる権利も誰ももたない。
だからこそ人は人を動かそうと努力するし、その努力が必ずしも報われないのが、無常と
私にとって問題は、彼女が彼女ではないことで、私の存在理由が消えることだ。
より直接的なエゴ。『勝手な希望』こそが私の存在理由。
彼女を手に入れられなければこの世界なんてどうでもいい。私自身も別にいらない。
背負うものにじくりとした罪悪感を感じてはいても、これが本音だ。最低最悪の。
自分のために生きられなかった私が、彼女を
完全無欠な勝手だが、頭では理解していても止めることはできないし、やめたいとも思わない。今の自分が、私は嫌いじゃなかった。生きている実感があるから。
しかし、この問題ばっかりはここで一人で考えていても何も結論はでない。会うしかないのだ。
今のエンリケッタが、捧剣のエンリケッタとは違ったら、この気持ちは消えるのか。勝手な希望を消されたら私はまた人形に戻るのか、それとも別の何かに変質するのか。
我ながら面倒臭い。フィーのようにもっと単純に生きたいと思う。望むことは単純なのに、どうしてここまで絡まる。
狂おしいほど思う。彼女が欲しいだけなのだ。そして、オットーではないが、守りたいものを守る力がほしい。
欲張らない。たった二つだけだ。手に入れたいのはその二つだけなのに、彼女の心が確実に手に入る保証なんてものはもちろんなく、守る力が欲しければ命を天秤にかけろと神はのたまう。
エンリケッタと隣で笑い合う未来。簡単に見えるそれが果てしなく遠い。
一歩間違えば奈落に落ちる綱渡りだ。先がどこに繋がっているかもわからない。ゲームではないのだ。セーブもロードもできない。選択肢すら提示されない。
考えて考えて考えて、選択肢を探して、すくむ足を叱咤して、目指すものが綱の先にないことに怯えながら歩く。間違えるのが怖い。不可逆が怖い。一つを選んで、切り捨てた道の中に正解があるのが怖い。
けれど、怖くても選ばなければならないんだ。選ばなければ歩き始めることはできず、歩かなければたどり着くこともないから。
目には見えなくても、選択肢を積み上げてゴールを目指すのはゲームも現実も同じだ。
だから考えろ、考えろ、考えろ。どうすれば、足りないものだらけの手に望むものを乗せることができるのか。考えて自分の最良を選べ。間違えたら後悔なんて絶対する。絶対するけど、少なくとも、もう一度あの地点に戻っても、あれ以上の選択肢はなかったと自分に申し訳が立つように。
戻らない時間に呑まれて膝を折ることなく、顔を上げて次の道を歩き始めることができるように。
望むものがたった二つだからこその脆さを、強さに変えろ、ジュスト・オルトナイル。
そうして、いつの間にか夜は明けた。
午前中の必修講義は上の空で過ごした。九つの頃には終えていた内容だ。一読すればすぐに思い出せる。
私の隣に陣取ったオットーが疑問符そのもののような表情を浮かべながら、ノートだけはしっかり取っている姿の方がよほど面白かった。
「ジュスト様!選択授業はどれを選ぶんですか!今日は剣術がなくてすごく残念です!」
最後の一言にものすごく力が入っている。脳筋はブレない。
「薬学に行く予定だよ。アダルベルトに久しぶりに会おうと思ってね」
「では一緒ですね!一緒に行きましょう!是非!こちらです!今日は傷……いや、打ち身用……あれ?とにかく薬の調合ですよ!」
「ああ」
変わらず晴れやかな顔のオットーと歩を並べて回廊を進みながら、期待に跳ねる鼓動を抑えようと呼吸を深くする。
表情には気をつけろと口酸っぱく注意されたので、それだけは保とうと頭に刻みつける。彼女との初の出会いで気色の悪い顔をするわけにはいかない。人形の頃の方が楽だったと、これほど浮き立つ心で思う日がくるとは考えもしなかった。
もちろん、私の些細な奮闘など稀代の魔性の女の前では無力だったけれど。
「兄上?」
それが証拠に記憶が飛んだ。
雑然とした机の向こう、少し低い高さからこちらを覗き込むアダルベルトの不思議そうな顔を認識して、私は記憶が飛んだことを把握した。
薬学の授業中だ。
手に調合用の道具一式を持っている状況を見るにこれから実技を行うところ。
「殿下、こちらにどうぞ」
フィーが調合台のスペースを空ける。アダルベルトの向かいだ。
「ありがとう」
「いえ、殿下とお会いできるなんて光栄です」
おそらく私が硬直した理由をいろいろと察して助け舟を出してくれたフィーに、よそ行きの笑顔で言われたが、アメジストの目は笑ってない。さっさとしゃんとしろヘタレと発破をかけられている気がする。
「ごめんなさい兄上、場所がありませんでしたね」
「私が急にこちらに来たんだ。アダルベルトが自責することじゃないよ。こちらは?」
同じ机を囲む面々を見回して、紹介を請う。眉根を下げていたアダルベルトはぱあっと表情を明るくした。
会うのは三年ぶりだが、人懐っこい仕草は幼い頃と同じだ。それが見れるのは、イザベルと意地悪な侍従がいないところに限られていたけれど。
「ぼ……私の級友です!」
そう言ったっきり、誰から紹介しようかまごついていたが、またもやフィーが助け舟を出した。船着場にとって返す暇もなかっただろう。
兄弟揃って世話になっている。
「オルフィーナと申します」
手を止めて優雅に一礼したフィーに続いて、続々と挨拶が飛んでくる。
「フランソワと申します、殿下」
「エリオットです」
「マリウスと申します、殿下」
「オットーです!」
フィーの話を聞いていたので覚悟はあったが、ひやりとした。誰かの意図を疑ってしまっても仕方ない状況だ。できるのは人の意図ではないことをただ祈ること、今回ばかりは神の悪戯でも許せる。
そして満を持して、涼やかな声が場に響く。
うっかり視界にいれただけで記憶を飛ばしてくれた相手。
ヒロインと攻略対象、ここまで揃ってしまえば彼女を欠くことはできない。
ずっと視線を外していたアダルベルトの右、そこにいた。彼女のために誂えたかのような制服に身を包んで。
所作の美しさにまず瞠目する。
時の流れが変わったのを感じた。世界から私だけが置いていかれたように、全てがスローモーションだ。
次いで声が、響く。恋い焦がれた声が。
ふんわりとお手本のように折られた腰。僅かにこぼれ落ちる髪の軌道さえ計算しているのではないかと錯覚する。
やがて真正面から視線が交わり、彼女の静かな水面のようだった表情が崩れる。
立ち絵で何度も見た。が、今度ばかりは現実が虚構を超える。
「エンリケッタと申しますわ、殿下」
魔性と呼ばれるに相応しく、魂までも持っていかれそうな笑みは、やはり。
それはそれは魅力的で——————私はようやく正式に恋に堕ちた。
だが一度あったことを二度繰り返すほど愚かにはなれない。
「こちらこそよろしくお願いする。ジュストでいいよ。我らは等しく女神ソフィスのしもべだ」
意識は表情筋に。ここが正念場とぐっと踏みとどまる。笑みをキープしろ。皇太子の微笑みなんて三つの頃には覚えていただろうジュスト。思い出せ。
出会いからクライマックスのような力の入れようで、これが告白なんてことになったらどうなるんだと嘆きそうになるけれど、美しさとはそれだけで力なのだ。
惚れた相手が綺麗すぎたのは誰のせいでもない。強いて言えば惚れてしまった自分のせいだ。
「邪魔をして悪かったね。久しぶりに弟を見かけて話したくなってしまったんだ」
教科書をめくり、課題として出された基本的な傷薬のレシピを探しながら苦笑いをする。意図した通りに、私の動きを見て作業を再開させた彼らに満足したが、一部思い通りにならないのもいた。
「あら、邪魔だなんてそのようなことはないです」
「フランツの言う通りですよ。僕たちもジュスト様と話ししたかったんです」
アダルベルトの左側に並んだ二人。鶯色の巻き髪の背の高い女生徒と、小豆色の髪のサイドをショートにした七三スタイルにまとめている、胡散臭い笑みの男。
「フランソワよマリウス。間違えないでくれる?」
「間違えてるのはお前だろうこの、んぐっ」
何事かで否定しようとしたマリウスの口を高速でふさいだ手は骨ばっている。
「もういやだ。ジュスト様の前で何を言うつもりなのよマリウス。いい?空気の読めない男はモテないのよ。商人なら尚更ね。他人が何を求めてるのか察しなさいよ。ちょっと何するのこの!キャア」
マリウスもやられっぱなしではない。口を覆う手の親指の付け根に自分の指を潜り込ませて
「っぷは。この野郎。何度言ったら分かるんだ!鼻までふさぐな!窒息するだろ」
「乱暴者!痛いじゃない!アタシの手をなんだと思ってるの。国宝よ!痛めたらどうしてくれるのよ。あんたが責任取ってくれるの!」
「だったら気軽に使うな!お前は手が速すぎるんだよ!」
「お二人とも」
すっとエンリケッタの声が割って入った。
「ジュスト様が困っていらっしゃるわ」
微笑み一つ。それだけで過熱した二人が嘘のように鎮まった。
「まったくだ。醜態を晒してくれる」
私の左手、オットーの隣で黙々と薬草を刻んでいたエリオットが淡々と手を動かしながら冷たい声で吐き捨てる。
「まあまあ。ひーちゃ…ジュスト様はこの程度のこと気になさらないでしょう」
きまり悪そうな顔でこちらをうかがう二人に、頷いてやる。
「オルフィーナ君の言う通り。大丈夫だよ」
私とオルフィーナのやりとりを妙な表情で聞いていたアダルベルトが、何を思ったか口を開いた。
「兄上、実はフランソワには事情があるんです」
それはまずいと思った瞬間に、エンリケッタが自然にフランソワに水を向けた。
「ねえフランソワ、
私は心の内で舌を巻いた。アダルベルトの次の言葉が出るよりも早く、そしてアダルベルトの話を遮ったと思われないココしかないというタイミングで、エンリケッタは素早く軌道を修正した。
アダルベルトに悪気がなかろうと、臣下の秘密をぽろぽろと零す主君は最悪だ。友達としても勿論。
この場でエンリケッタの妙技に気付いたのは不満そうにふんっと鼻を鳴らしたエリオットと私だけだろう。
エンリケッタに促されたフランツは迷っていたが、話す覚悟が決まったかなと思われるところで、こちらから声をかける。
「慣例を破るけど大目に見てくれ。フランツ・フェネクスだろう。噂はかねがね聞いているよ。楽器ならなんでも弾きこなす上に、どれも素晴らしい腕前だと。フランツでもフランソワでも構わない。今度談話室に行くから、一曲お願いできないかな」
覚悟を決めたところで申し訳ないが、フランツの事情なんてものは当然知っている。ことによっては本人よりも詳しいかもしれない。
フェネクス伯爵家の長男。一家揃って芸術家で変わり者が多い。フランツも御多分に洩れず女装趣味を持つ青年だ。公式のアンケートで哲学的な心理をしているキャラクター1位に選ばれたこともある。
アンケートの項目からしてフランツのために作っただろうともっぱらの評判だった。パイロット調査もまともにやってないと思われる。
そんな公式にもネタにされる複雑な彼の心理状況を紐解くと、まず、彼は女性になりたい人間ではない。単純に美しくなるための手段として女装をとっている。
これがフランツの女装趣味である。
そして、フランツは同時に女性になりたいとも思っている。矛盾しているようだが、フランツが女性になりたいというのは、理想の女性というアートを自分の体を素材に作りたいからだ。
この場合、彼の視点は彼自身の体の外にある。絵を描き、粘土をこね、石膏を削る。そういったクリエイターの目線だ。素材が彼自身だからややこしいだけで。
ゲーム内のフランツは、美しさ追求の手段として女装をすることを、まず悪役令嬢に肯定された。
気味悪がずにいてくれる希少な存在。かつ、フランツを熱狂させる美の持ち主。
フランツは簡単にエンリケッタの信奉者となった。
こうしてエンリケッタはフランツの心を得たが、結果的にヒロインが付け入る隙も生み出すことになる。
女装姿で過ごすようになったフランツは、天才奏者の仮面の内に欲望を抑えていたかつてよりも格段に心の防波堤が低くなったからだ。
そこに、ヒロインの魔の手が迫った。
フランツは異性愛者で、悪役令嬢に落ちる前の彼にも好きな人が居た。フランツにそっくりな彼の従姉妹だ。
オルフィーナはフランツと同郷の同級生からそれを聞き出して、友人に頼んでサロンに演奏家としてフランツの従姉妹を呼び寄せる。
この時、必要な教養値、魅力値を満たし、一般好感度が九割をこえ、交渉スキルが七以上であれば三度目の会話でフランツの従姉妹から逆にフランツの話題を振られる。
そこで選択肢を間違えなければフランツルートの開始だ。
最終的にトゥルールート以外であればオルフィーナ自身がフランツの理想の女性の素材となり、トゥルールートではフランツの従姉妹が素材となる。
こういった諸事情を踏まえて、私はあえてそこへの無関心を伝えた。
フランツが女装をしているということは、今のエンリケッタがどういう洗脳方法をとったにしろ彼の女装趣味の面は引き出されたと考えている。
———フランツは下手に突くとヤンデレ化する爆弾である。
バッドエンドどころかグッドエンドもだ。イラスト化すると軒並みレイティングに引っかかる残酷描写のオンパレードのため、一律、爽やかな草原の背景に赤黒いテキストが浮かぶ仕様になっていた。
ヤンデレの大草原とは、何度か青い鳥のあれでバズった時に付けられた異名である。
触らぬヤンデレに祟りなし。
事情なんて聞きたくもない。エンリケッタに矛先が向かうのだけが気がかりだが、そこは私の甲斐性の見せ所だろう。もっとも先刻からのエンリケッタを見る限り、彼女が下手を打つとも思えないが。
私の逃げの一手から出た言葉になぜかえらく感銘を受けたように頷いて、フランツは言葉を発しなかった。
皆が無言で事の成り行きを見守りながら、火にかけた鍋の水面も見守っていると、おもむろにフランツが握手を求めてくる。
溶剤を持っているときはやめてくれ。頼むから周囲を見ろ。
さっと私の持つビーカーを引き受けたのはエンリケッタだった。ありがとうと囁くと、いいえとにこやかに返される。
やめてくれ、何度惚れさせるつもりだ。
こういうのは隣にいる人間がやるべきじゃないのかとわめきたくなったが、右を見ればぽけっとしているフィー。左は力加減を間違えて薬草をすり潰しているオットー。
いい感じに肩の力が抜けた。
ため息をついて、フランツの手を握る。
「ジュスト様あなたに捧げる歌ができました。聴いていただけますか」
むしろ聴けと雄弁にその目が語っている。今ここで歌い出しそうな勢いだ。
「嬉しいね。もちろん喜んで聴かせてもらおう。折角だからちゃんとした場で。明日談話室に行こう。君の演奏を期待しているよ」
なんとか授業で奇行が公開されるのを阻止しようと誘導を試みる。
「おお……」
母音一つだけの返事にもなっていない返事をして、フランツはまた自分の世界に閉じこもった。
そんな彼にアダルベルトは困った顔をして、マリウスは片目を眇めて呆れ、エリオットは視線すらやらず、オットーとフィーは首を傾げて、エンリケッタは何を考えているかわからない礼儀正しい笑みを保っている。
その様子を眺めながら、ここは優しい場所だと思う。
悪役令嬢とヒロインへの行き過ぎた特別視は感じられない。仲の良い同級生の距離感で、捧剣の中のようないがみ合いや、度を超えた敵視はここにはない。
同調圧もなければ、外れたものを排斥しようとする動きもない。
集まった個性が上手いことまとまっている。
たった二ヶ月で作られたとは思えないほどとても穏やかな場所だった。
だからこそ、自分が出来上がっている輪に入った客人でしかないのがよく分かった。
この集団がアダルベルトに気を使いながら、エンリケッタとフィーの二人で回っているのも。
彼らを多くの生徒が羨望の眼差しで見ているのも。
十分だ。百聞は一見にしかずとのフィーの言葉は正しく、自分の目で見なければ信じられないものを私はみた。足元が心もとない綱の端に在って、先の見えない暗闇から次にとるべき
足りないものは今夜あたりには届けられるだろう。
出来上がった薬を瓶に詰めるふりをして、フィーのポケットに呼び出し用のメモ紙を落としながら、私は次はどの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます