第3話

体育館を後にした俺は残り15分という短い時間でトイレに行く→昼食→着替え→そして体育館に戻ってくるという4行程を素早くこなす必要があった。

普通の奴ならば、この限られた時間の中でこれらの作業をするのはとても困難だと言えるだろう。

ましてや入学式当日、新入生である俺は学校内の地図が頭に入っている訳がない。そんな中でのこの挑戦は無謀以外の何物でもなかった。

しかし、俺には完璧な計算があった。

そもそも勝算がなければ、こんなギリギリの行動を取るわけがない。俺は勝利を確信したからこそ体育館を出たのだ。


さて、ここで俺の勝算について説明しよう。

まぁ実際のところ勝算もなにもぶっちゃけて言えば、すでに俺には学内の地図が頭に入っているのだ。

だからこそ一切の迷いもなく体育館から最も近いトイレを選択した。


俺の計算に狂いはない。


「なんでだーー」

俺は絶望に打ちひしがれながら両手で頭を抱えた。

なんでこんなにトイレが混んでんだ。女子トイレならまだしも男子トイレがこの混み方をするのは繁忙期のディ○ニーランドぐらいしか考えられんだろ。

式の開始に備えてであろう多くの保護者でトイレは満員状態だった。


くそっ。

俺は頭を掻きながら次に近いトイレを目指して走り出した。

この高校は、体育館とグラウンドが併設されていて校舎

は別棟に建設されている。体育館のトイレは一ヶ所しかない為、必然的に校舎のある別棟に向かうしかなくなった。

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