第14話 大球世界の学校 4時間目 社会

異世界人にしばらく身体を貸した謝礼として受け取った一時転生マシーンを使って転生を試したものの一度目は宇宙に浮かぶガス生物、二度目は何と電子になってしまうが、三度目にしてようやく人間型の生き物への転生に成功。2本の足で立ち、腕も2本で身体の上には頭がある。頭には2つの目と2つの耳があり、鼻で息を吸い口で物を食べるところまで人間にそっくり。少し違うところといえば、目が前後に1個ずつ配置されてることと、鼻と口が横についてること。

身体を貸してくれたカンカはまだ子供なので、代わりに学校へも通うことになった。身体は子供だけど頭脳は大人、ただし異世界人の体験記。


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4時間目の社会の授業で、この大球にすむ人間以外の生き物についても知ることができた。

授業としては食料に関する産業について、これは一次産業と言うのだったか。それで農業や漁業、牧畜などについてが説明された。

農業に出てくる作物は、それほど変わった感じはしなかった。見た目が少し違っていても、種を食べる穀物や木の実であるとか種の周囲を食べる果物。そして葉などを食べる野菜、根や地下茎が変化した芋類。レンコンみたいに穴が開いている作物もあった。

なのであまり異世界という感じはなく、知らない国の作物かなといった印象。


魚についてもほぼ見た目は一緒。大球人みたいに目や口の位置が違うのではないかと思ったのだけど、意外にも地球の魚と同じような配置だった。違いといえばイルカやクジラみたいな哺乳類の水生生物の種類や数が多く、魚と同じくらいが食卓に上がっていること。昔の日本でもクジラを沢山食べていたみたいだけど、それと同じような感じだろうか。


動物は少し違うところがあった。牛みたいな草食の動物はいて、肉を食べたり乳を飲んだりと利用されているのだけど、この牛の顔が少し地球とは違っている。

顔の左右に目があり、先頭に口があるのは同じだけど、鼻は後頭部についていた。口と鼻が逆に位置しているのは大球人と同じで、耳が縦に並んでるのも大球人的だ。

顔を90度横向きにしたら、大球人と同じように目が前後にくるのだけど、進化の途中で首の向きが変わるとかがあったのだろうか。そういえば人間の場合でも、脳と身体の接続が左右逆になっていて、右脳が左半身を左脳が右半身を動かしているのだけど、これもどこかでねじれたのか。だとしたら180度ではなく90度のねじれの方が有り得るかも。


豚のような動物もいた。これも鼻が後頭部というか背中あたりについている。見た目としてはイルカみたいだ。クジラやイルカと考えれば、呼吸孔が背面にあることも変ではないように思えてくる。イルカは海豚とも書くように、地球のイルカとブタの見た目も似ているのだけど、大球世界のブタはまるっきりイルカにそっくりだ。もしかしたらイルカから進化したのかもとも思えるほど。鼻先、といっても鼻は無く口のある部分だけど、そこの形状もイルカみたいにとがっていて、それをうまく使って地面を掘り返したりもしているという。


体毛が無いのも水生生物っぽい。イルカやクジラだけでなく、カバにも他の動物のように皮膚に毛が無いのは水中生活をしているからだろう。なのでこちらの世界のブタみたいな動物は、イノシシからではなく水中生活をするイルカやカバと同じ系列の生き物だったりするのかも。肉の味もイルカと似ているようだ。


4時間目が終わると、いよいよ給食だ。

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