第6話月を背負って2

 精神に存在を依拠する死者たちにとって、睡眠とは疲労の回復よりも、「リセット」のために行われる行為だ。それまでに受けた様々な精神的影響から脱し、魂を元々の、安定した状態に戻す。形態こそ違えど、生者にとっても死者にとっても、睡眠は重要な意味を持つのだ。

 そしてここでも、一人の少女が、眠りの底に落ちていた。彼女の名はアガサ。死者でもあり、生者でもある、曖昧な存在だ。彼女は神父との一件以降、平々凡々な日々を過ごしていた。幼気な子どもらしく、活発に新世界の事物に触れ、新鮮な感覚を何度も味わっていた。腐りかけのものは美味いという。ゲテモノも美味いという。その理屈なのだろうか。死者世界の食物は、案外美味しいのだ。完全な生者だった頃、まともな飯を食えなかった彼女にとって、腹いっぱい美味しいものを食える(見た目はともかく)生活は、夢のように感じられた。そんな訳で、今日もたっぷり遊び、たっぷり食べた彼女は、驚きと興奮で動揺した魂を「静める」べく、眠りにふけっていたのである。

 ところで、先程生者と死者との、睡眠の違いについて述べたが、実は睡眠中夢を見るという点では、両者は共通しているのだ。漆黒の館の内部、自分用に与えられた一室で、アガサは夢を見ていた。上から下へとゆっくり流れる、白い白い濁流、それに流されながら、アガサはどこまでもどこまでも落ちていった。かつて早逝した母が、読んでくれた、絵本のお話みたいに。アガサを包む白い澱みは、どこか懐かしい感じがするものだった。ほのかに温かいその泥は、抱擁されているかのような感覚をアガサにおぼえさせた。アガサはその心地よさを味わいながら、下へ下へと落ちていく。

 そしてある瞬間を境に、アガサを包んでいた白い流れが四方にはじけた。流れは飛沫を上げ、渦巻き、少しずつ宙に溶け、最後は消えていった。その様子をボーと眺めていたアガサは、ふと前方に、ぼんやりとした白い光を放つ、何かがあることに気付いた。アガサはフラフラと、引き寄せられるように光源の方へ歩いていく。近づいていくことで、少しずつ輪郭がはっきりしてくる。正体が、見えてくる。いまだまどろみの中にある、アガサの意識が捉えたもの、それは、一人の少女の姿だった。

 少女の周りだけが、暗い世界の中、弱々しい光で満たされている。少女は、一糸も纏うことのない裸の姿で、アガサに背を向け佇んでいた。陶器のように滑らかな、少女の背中の曲線を、アガサはうっとりと見つめていた。アガサより、少女の方が一回り背が高いので、自然と見上げる形になる。アガサは自分の周りだけ、時がゆっくりと流れているかのような、そんな感覚を覚えていた。思考、知覚、意識、それらが全て一体となり、少女を見つめている。無意識のうちに、アガサは翼を広げていた。抑制が効いてないのだ。

 ふとした瞬間、アガサは、少女が笑ったことに気付いた。少女の顔はみえずとも、鋭く統一された精神が、それを捉えたのだ。アガサの意識が、一気に覚醒した。石のように静止していた少女が、静かに振り向く。その動作は、とても緩やかに、そして、どこか懐かしく感じられる。半透明な白い肌、色の薄い白色の髪、夜の海のように、暗い青色の瞳、そして―可愛らしい微笑。それがアガサの捉えたもの。少女と目が合ったその瞬間、アガサの夢は終わった。要するに、目覚めた。

 「……何だったんだろう、あの夢。」

 アガサは不思議そうに首を傾げた。


アガサは昨晩の夢のことを博士に話してみた。あの夢が、何か特別な意味を持っている、アガサは何となくそう感じていたのだ。

 「白い少女?」

 「そう、つま先からてっぺんまで白い子。」

 「はあ。」

 「その子が振り向いてね、目が合ったの。私心臓が止まっちゃうかと思った。」

 「……それは、恋という奴じゃないか。」

 「その子女の子だよ。」

 「ああ、そうか。随分前に、人間はそういった瞬間に、恋に落ちると聞いたんだ。」

 「へえ、そうなんだ。」

 「いやいや、お前こそ人間だろうが。」

 「……でも恋心って何か分からないよ。」

 「……人間の半分は恋愛で出来ていると思ってたのだが。まあ、確かに気になる夢だが、そう、所詮は夢だ。うつろな幻にすぎん。」

 「……そうだね。」

 「おーい、二人とも、朝ご飯食おうぜ。」

 夜の散歩から帰ってきたゴイルが、二人に呼び掛けた。

 「そうだな、朝食にしよう。」

 そう言うと博士は、棚から、黒くてほのかに甘いジャムが、詰まった瓶を取り出した。

 「……。」

 ジャムをたっぷりとつけたトーストを頬張りながら、アガサは悶々と思索にふけっていた。

 

 心の中のモヤモヤを消化できないまま、時間だけが過ぎていった。気付けば、陰鬱な輝きを放つ黒い陽も、すでに沈んでしまっている。アガサはボーと、外をほっつき回っていたが、妖怪たちの声が少しずつ騒がしくなってきたことに気付き、急いで帰路についた。妖怪どもに絡まられると、夕食に遅れてしまう。

 暗い道を一心不乱に駆けていたアガサだが、途中であることに気付いた。妖怪たちの様子がどこかおかしいのだ。普段奴らは夜になると、鷹揚とした、呑気な声で鳴く癖に、今日はやけにピリピリとした、不安な気分にさせてくれる声で鳴いているのだ。アガサは何となく心細くなり、翼を展開した。最近気づいたことなのだが、翼はアガサの心を落ち着かせてくれるのだ。しなやかで、しかし硬質の褐色の翼は、統一された心のあり様を象徴しているのかもしれない。

 アガサの住処である、黒い館が遠くに見えてきた。アガサは一層足を速めた。ぐんぐんと、視界の中の館が大きくなっていく。アガサはつむじ風のような勢いで、扉をばたんと開けた。

 「ただいま!」

 アガサは開口一番に叫んだ。

 「おかえり、扉は丁寧に開けろアガサ。」

 濁った白い水が注がれたグラスに口をつけながら、蜘蛛博士がぶっきらぼうに言った。

 「ごめんなさい。」

 「随分と急いで帰ってきたようだな。何かあったのか?」

 「妖怪たちがいつもより不安げに鳴いてたの。」

 「不安げ?」

 白い水を飲み干しながら、博士が言った。

 「そう、なんだか、何かに怯えるような声で鳴いてた。」

 「……気になるな。」

 そう言うと、博士は腕組をして黙り込んでしまった。考えを巡らせているのだ。

 しばらくして、博士が口を開いた。

 「まあ、外に出なけりゃ大丈夫さ。」

 随分と、あっけからんとした口調だった。

 確かにそうだろう。しかし、あの妖怪共の鳴き声は、不吉な何かの訪れを告げるものだと、アガサは感じていた。その不吉な何かは、外に出ないだけで防げるものなのだろうか。アガサは不安でいっぱいだった。

 夕食の際、アガサの不安を増長させる出来事が起きた。発端は、普段外で夕食をとりがちなゴイルが、珍しく帰ってきたことだった。どこからともなく大広間に現れたゴイルの顔は、憔悴しきっていた。

 「どうしたのゴイル!?」

 アガサが真っ先に声を上げた。

 「なんか、外がひどいことになっていてね……。」

 髭に付いた泥を拭きながら、ゴイルが呟いた。

 「ひどいとは、具体的にどういう状況だ。」

 蜘蛛博士が尋ねる。

 「……妖怪共がね、大量に壊れていたんだ。」

 「何だと…?」

 ここでの壊れるとは、生者にとっての死を指す。

 「外傷は無かったね。おそらく『毒』だ…。」

 「毒?」

 アガサの声を気にすることなく、ゴイルは続けた。おそらく、耳に入っていなかったのだ。

 「そう、『毒』だよ!身の毛のよだつような深い地底で眠っていた化け物さ!そいつが、たっぷりと、溜め込んできた瘴気をばらまいたんだ!醜い下等な妖怪ごとき、一瞬で壊せちまうような猛毒さ!僕ですら危なかったんだぞ!畜生!畜生ォ…!!」

 ゴイルは完全に取り乱していた。ギャアギャアと煩わしい声を上げ、早口でまくし立てた。

 「落ち着けゴイル!お前が、ここまで取り乱すなんて…。一体何があったんだ。」

 「あああ!!『毒』だ『毒』!あんなのありかよ!!ふざけやがって!!」

 「……。」

 唖然としてゴイルを見ていたアガサが、突然翼を展開した。

 「落ち着いてゴイル!」

 翼のもたらした安心感の効用だろうか、あれだけ大声を出していたゴイルが、少し落ち着きを見せ始めた。

 「ハア、ハア、ハア。ああ、畜生!我ながらみっともない…。」

 「動悸がすこしづつ、収まってきたな。」

 もうしばらくすると、ゴイルはいつもの、子憎たらしい表情を取り戻した。

 「大丈夫ゴイル?」

 アガサは心配そうにゴイルを見つめている。

 「うん、もう大丈夫だよ。」

 内心、年端もいかぬ小娘に助けられたことに、腸煮えくり返っていたが、そっちは面に出さないゴイルであった。

 「まったく、驚かせやがって。それで、結局何があったんだ?今度は落ち着いて、丁寧に説明しろよ。」

 博士の皮肉めいた態度を無視しながら、ゴイルが説明を始めた。

 「……外歩いてたら、毒ガスに遭ったんだ。ただそれだけさ。はい、説明終わり。」

 「おい、ゴイル、お前なあ…。」

 「はいはい、分かってるよ。多分あれは、化け物の『毒』だ。普段は地中の奥底で眠っている怪物が、甘美な獲物の匂いに魅かれて、外に這い出てきたんだ。」

 「?」

 アガサのキョトンとした表情を見て、博士が説明した。

 「この世界の地下には、死者の魂を壊す『毒』が眠っているのさ。しかし中には、この『毒』に耐性を持つ者もいる。要するにゴイルは、地中で『毒』をたっぷり浴びてきたそいつが、地上に毒をばらまいたと言いたいんだよ。」

 「そうなんだ。」

 アガサは少し考えた後に言った。

 「…じゃあ、妖怪たちが怯えていたのって。」

 「おそらく、『毒』のせいさ。…もしくは。」

 「もしくは?」

 「その怪物自体に怯えていたのか。」

 「……!」

 アガサの顔が一瞬強張った。

 「確かに、奴がまだ食事を終えていないのならば、この付近をうろついている可能性は高いね…。」

 憂鬱そうにゴイルが言った。

 「その怪物が、ここに入ってくる可能性は?」

 アガサが尋ねた。冷たい汗が、彼女の背筋を伝っている。

 「安心しろ。この館は並大抵のことではビクともせん。それに念のため、これからまじないもかける。」

 「本当?良かった。」

 アガサはほっと胸を撫で下ろした。

 「はあ、これで安心できるよ。…安心したら、なんだか腹が減ってきたな。」

 広間のテーブルの上には、すでに料理が並べられている。

 「食べろ食べろ。私も食事が終わってからまじないをかけることにする。腹が減っては戦が出来ぬという奴だ。」

 「そうだね。じゃっ、いただきますと。」

 さっきまでの狼狽が嘘のように、ゴイルは呑気に食事を始めた。やはり根はネコの気紛れさを受け継いでいるようだ。

 (そういえば、夢の中のあの子と、怪物の出現って、何か繋がりがあるのかなあ。)

 すっかり冷めてしまったバケットをかじりながら、アガサはふと考えた。


  蜘蛛博士がまじないの障壁を完成させたのを見届けた後、アガサは寝室に向かった。夕方急いで走った疲れもあり、アガサはとっとと眠ってしまった。沈んでいく意識、頭から真っ逆さまに落ちていく。転落してゆくアガサの目の前を、孤影がよぎる。

 昨晩とは違って、アガサの意識はぼんやりとしていた。故に、眼前の白い少女から受け取る情報も、断片的なものとなる。白い少女の揺らめく輪郭を、曖昧な床に臥して見つめていたアガサは、とあることに気付いた。昨晩、少女から感じた特異な感覚―懐かしさの正体。そもそも、アガサは以前、遠いどこかで、この少女と出会ったことがある。不意に浮かび上がるモノクロの映像。この白い夢の底のような、かすかなぬくもりを感じ取れるどこかで、既に二人は出会っていたのだ。

 「夢。」

 少女がそっと呟く。

 「胎児の夢。」

 少女の声は甘く優しいものだった。

 「夢?」

 「そう、夢。胎児の夢。」

 アガサは無意識のうちに、少女の方へ手を伸ばしていた。

 「以前、私たちが出会った場所。」

 その言葉が耳に入った瞬間、アガサは魂の震えるような衝撃を受けた。アガサは思わず後ずさりした。まだ幼い彼女には、自身を襲う恐怖の正体が掴めていなかった。自身を脅かした根源的な恐怖、その正体が、「本質」へと近づく痛みだと、いつになったら彼女は気づくのか。とにかく、アガサは前後を失った。視界が揺らぎ、世界が闇に包まれる。翼の展開が間に合わないほどの速さで、アガサは現実へと引き戻されていった。

 「……!」

 寝床から跳ね起きたアガサの全身は、寝汗に塗れていた。額の汗を袖で拭いながら、アガサは遠くへ行ってしまった少女の孤影を、脳裏に再現した。

 「……。」

 確かに、別れの瞬間、あの白い少女は、悲しそうな顔をしていたのだ。

 少女の正体について、アガサは大体見当がついていた。しかし、現時点では、憶測でしかない。確証を得ようとアガサは再び寝床に潜った。まだ周囲は、濃密な夜の闇で包まれている。しかしどうしてか目が覚めてしまう。中々寝付けない。精神が静まってくれないのだ。結局アガサは、その晩夢を見ることが出来なかった。

 毛布の中で、夜明けを感じた彼女は、苦悩に塗れた溜息をついた。闇は薄くなっている。空は白くなっている。世界から、不吉な感じが去っていき、再び平穏が戻ってくる。穏やかな陽光が、一日の始まりを告げた。―朝の訪れだ。

 寝巻から着替えて広間に降りると、蜘蛛博士がジッと窓の外を見ていた。深刻そうな面持ちだ。

 「『毒』が濃くなってやがる。」

 「えっ?」

 博士の言葉を聞いて、アガサは思わず驚きの声を上げた。

 「昨晩から、ずっと起きて観察していたんだ。畜生、ふざけやがって。」

 「……ねえ、待って。『毒』が濃くなっているってことは…。」

 「怪物が、こっちに近づいてきている。そう言いたいのか?」

 「……うん。」

 「俺も同じことを考えていた。」

 沈鬱そうな面持ちで博士が言った。

 「とにかく、『毒』が完全に消え去るまで、外を出ないことだな。」

 「……お外、出れないの?」

 アガサはうつむきながら尋ねた。

 「……どうした?なにか深刻な問題でもあるのか?」

 「……眠れなくなるから、遊び疲れていないと。」

 「眠れないのが嫌なのか?」

 博士はアガサの顔をまじまじと見つめた。

 「確かに、まだ朝だというのに少し疲れているかのような印象を受ける。」

 「昨日、あんまりよく眠れなくて…。」

 「神父に殺されかけた、あの日の晩ですら快眠していたお前がか。余程『毒』が怖かったと見える。」

 (……。)

そこまで言ったところで、ふと、一つの疑問が浮かんだ。

 (こいつ、何かを隠している……?)

 博士の勘は決して侮れるものではない。伊達に「博士」とは名乗っていないのだ。優れた直観力を持っている。内心博士を見下しているゴイルすらも、この点には注意しているほどだ。

 「アガサ、お前何か隠しているだろう?」

 だが、博士は材料の扱い方が下手なのだ。ジャブすら入れず、すぐに大振りの一撃を繰り出したのでは、当たるわけがない。この男は老獪だが、時に短絡的なのだ。

 「うん、まあ、そうだね。言ってないことがあるよ。」

 それでも事が上手く行ってしまうのは、少女の純真さ故か。ある意味これも、聡明さの一つといえまいか。

 「……実は一昨日の夜から、夢の中で、白い女の子と出会っているの。」

 「白い女の子?」

博士が訝しげに言った。

 「それ、隠すほどのことか?」

 「何となく、言いたくなくて。」

 アガサは腕組しながら、少し頭を働かせた。

 「そういえば、あの人、すこし恥ずかしがり屋な印象を受けたな、だからかも。」

 「成程な。確かに奇妙な夢だ。」

 「不思議な人だったな。顔はまだ幼い感じだったけど、大人の女の人みたいな、色気があったような…。こういうのなんて言うんだっけ?」

 「妖艶?」

 「そう、それだ。女の私でも、少しドキドキするくらい妖艶だったな。」

 「夢の中の話なのに、実際に見てきたように言うんだな。」

 「そうなんだよね。あの人は、何となく特別な何かを持っている気がする。だから私は眠って、夢を見たいの。あの人のことについて、新しいことが知れるかも知れないし。」

 「成程、そういうことならば、いい薬がある。ちょっと待っていろ。」

 そう言うと博士は、鍵付きの薬品棚から、一つの瓶を持ってきた。

 中には茶色い粉が、瓶の半分ほどに入っている。

 「これは、何?」

 「私特製の睡眠薬だ。一匙で三時間はぐっすりだ。」

 「なんか、すごいんだろうけど、怖いな。」

 アガサは幼子らしく、恐怖をそのまま顔に出している。

 「安心しろ、お前の健全そのものな魂には、この程度の薬品では影響を与えることはできん。まあ、お前の魂を根本から破壊する薬品も提供出来るがな。」

 「……そうなんだ。」

 アガサはしらけ切っている。

 「ああ、もう、分かったよ。ほら飲め。」

 そういうと博士は、アガサに、小匙一杯の睡眠薬を差し出してきた。

 「……これ苦い?」

 「いいから飲め。」

 恐る恐る薬を飲み干した瞬間、アガサの顔に苦悶の表情が浮かんだ。

 「吐くなよ。いいか、吐き出すなよ!それ高いんだからな!」

 博士は急いでザクロジャムの入った瓶を持ってきた。

 「ほら、甘いジャムで中和しろ。」

 アガサはそのまま、ジャムを瓶一杯使い果たしてしまった。

 「はあ、はあ、苦いなんてもんじゃないよこれ。」

 「お子様には刺激が強すぎたようだな。さあ、寝室に向かえ。直に効き目が出てくる。」

 まだ口腔内には、強烈な苦味の感覚が残っていたが、ひとまずアガサは寝室へと向かった。

 「これで、会えるのかな。」

 急いで寝巻に着替えながら、アガサはふと呟いた。

 しかし、睡眠薬の効果が出る前にと、急いで布団を被ったのに、中々寝付けない。

 (本当に効き目、あるのかなあ。)

 アガサは疑問を呈した。博士は頼りになるようで頼りにならないことも結構多い。

 それに、アガサの精神は緊張で張り詰めていた。あの白い少女との、再会が、一体何をもたらすのか。自分の中の憶測が確信に変わることへの、不安と好奇が、アガサの心の中で渦を巻いていた。

 しかししばらくして、薬品が魂の深層にまで浸み込むと、やはり一気に強烈な睡魔が襲い掛かってきた。睡魔の大津波の前に、張り詰めた精神はすっかり圧倒されてしまった。

 そしてアガサは、暗い暗いまどろみの底へと落ちていった。あの白い少女を求めて。


 アガサを寝室に向かわせた後、博士は障壁のチェックを行った。館の四方に設置した魔法陣には、一切の問題がなかった。

(これで一安心だな。)

安堵の溜息をつくと、博士は急に空腹を感じた。

 「そう言えば、朝食がまだだったな。異常事態への対応に追われ、すっかり食事のことを失念していたようだ。アガサも昼頃になれば起きるだろう。その時ブランチでも食べるか。」

 そう言うと、博士は呑気に欠伸をした。しかし、現実は氷のように冷たかった。酷薄だった。次の瞬間、博士の視界にゴイルの姿が映った。

 「博士の馬鹿!どうして呑気に欠伸なんかしてるんだよ!」

 ゴイルの突然の登場に、博士は面食らってしまった。

 「ど、どうした急に?何か問題でもあったのか。」

 「大ありだよ!障壁に穴が開いてることにどうして気付かないのさ!?」

 「何だと!?しかし、魔法陣には一切の瑕疵が無かった筈だ!!」

 「あれを見な。」

 ゴイルは呆れ切った顔で、指を差した。ゴイルの示す方には、半透明の障壁があった。その中でも、ゴイルの指差す辺りだけ、ほんの僅かに色が違うのだ。本当によく目を凝らさなければ、分からないほどの微妙な差異だったが。

 「こ、これは?」

 「おそらく、怪物の仕業さ。障壁にこっそりと穴を開けて、侵入の後自分で穴をふさぎ、カモフラージュしたんだ。」

 「畜生!?してやられた!!」

 「まあ、僕の嗅覚を限界まで研ぎ澄ませて、ようやくあいつの匂いを感じられたんだ。あいつどうやら、気付かれぬよう、『毒』ごと匂いを処理したみたいだけど、完全には消しきれなかったみたいだね。匂いをたどってみたら、ここで途切れてた。だから気付けたのさ。」

 博士の背中には、脂汗が伝っていた。

 「くそ、しかしゴイル、奴の侵入のタイミングは分かるか?」

 「おそらくついさっきさ。匂いが出始めたタイミングから分かる。」

 「そうか、ところでゴイル、奴の求める餌とは何だと思う?」

 「……地中に眠り、『毒』に耐性を持つ。この時点で相当高位の存在だ。その上障壁を破る力を持ち、侵入を気付かせないためのカモフラージュを行うだけの狡猾さを併せ持つ。…かなり限定されてくるね。」

 「さすがだなゴイル、名推理だ。結論を言おう。怪物の正体は夢魔ヒューリーだ。」

 「夢魔ヒューリー…?」

 ゴイルは思わず固唾を呑んだ。

 「アガサが今朝、興味深い話をしていた。近頃夢の中で、白い少女が表れるそうだ。」

 「ねえ、それってもしかして…。」

 「ヒューリーの付け狙う餌とは、おそらく、アガサだ。」

 「博士…。」

 「ああ、急いでアガサの寝室へ向かうぞ。手遅れになる前にな。」

 「うん…。」

 次の瞬間、二人は脱兎の如く駆けて行った。

 

 その頃、アガサは夢の中で、白い少女を探していた。

 「変だなあ。今日はなんとなく、いつもと雰囲気が違うような…。」

 時々、夢の世界が細かく震えるのだ。まるで心臓のように、胎動する白い闇。

 一体どれほどの時間が?一瞬でもあり、百日でもある。それが、夢の世界の時のあり方、流れ方。アガサはまたもや、無意識的に翼を広げていた。

 (……そういえば、飛べるのかなあ。)

 夢の中には上昇気流はない。彼女の分厚い翼は、飛ぶのには適さない。

 しかし、アガサは念じ始めた。翼が己を、目的地まで、連れて行ってくれるようにと。

 「グォン。」

 不気味な唸りと共に、世界は瞼を閉じた。そして、開かれたときには、また新しい光が差している。

 (……ここは?)

 アガサは確かに飛んだのだ、遠いどこかへと。

 「アガサ、アガサ。」

 自分を呼ぶ声が、彼方から聞こえる。

 か細く、切なく響く声、しかししっかりと、アガサの耳には届いている。

 「そこにいたんだね!」

 アガサは既に、先程から感じていた懐かしさの正体に気付いていた。まだ生まれてくる前、羊水の中で、スヤスヤと眠っていた頃、聞いていた声。だから懐かしいのだ。胎児の夢の中で出会った少女、だから愛おしいのだ。

 「お姉ちゃん!」

 アガサは叫んだ。すると眼前に、孤影が浮かび上がる。

 「アガサ…。」

 白い少女が、アガサの前に姿を現した。


 かつて、飲んだくれの父親が、酔っぱらった時に言ったのだ。

 「おめえには、流産で死んだ姉がいるんだよ!」

 その時、アガサは確かに、ピンときた。しかし、その感覚の正体を、当時のアガサは掴めなかった。

 けれども、今なら分かる。あの感覚は、靄のかかった記憶の中の少女の正体を、勘づいたことによるものだったのだ。深い深い、深層心理の世界の中で。

 そして、その少女は今、目の前に佇んでいる。純白の髪を、あの時と同じようになびかせながら。

 「久しぶりね、アガサ。」

 「久しぶり、だったんだね。一昨日の出会いは。」

 「そうよ。」

 この白い少女は、どうも感情の起伏に乏しいようだ。それでも今は、喜びを感じていることが伝わってくる。

 「ああ、アガサ。私はもう、夢の世界の住人。あんたが生きていようが死んでいようが、夢の中でしか出会えない。」

 「お姉ちゃん…。」

 「なのに、胎児の夢が終わった後、不思議な断絶が私を拒絶した。あなたが陽を背負っていた頃は会えなかった。でも、あなたが死んだ後、また出会えるようになって…。」

 少女は感極まったのか、少しうつむいて、沈黙した。

 「ああ、良かった!もう一度出会えて!孤独が終わってくれて!本当に…良かった

…。」

 そう言うと、少女はアガサのことを、痛いくらい抱きしめた。

 その優雅な佇まいに似合わず、案外少女は寂しがり屋なのかもしれない。

 「私も、なんだか嬉しいや。」

 少女の瞳に浮かぶ雫を見て、アガサが呟いた。

 二人は、互いに互いの体温を感じながら、しばし、安らぎに満ちた時間を過ごした。

 しかし、冷たい風が、夢の世界で一迅吹いた。この風は、悪夢の始まりを象徴している。

 「アアアアアアアア!」

 壮絶な金切り声が、静寂を切り裂いた。

 「……お姉ちゃん、邪悪な気が、近づいてくる。」

 「……そうね。」

 二人は抱擁を解いた。

 「……奴が来るわ。」

 大気が震える。胎動の感覚が、短くなっていく。夢の世界は住人たちに、侵入者の存在を伝えていたのだ。

 悪夢が始まろうとしている。いや、「悪夢」そのものがやってきたのだ。

 一際世界が大きく揺れた直後、その怪物は姿を見せた。

 「アアアアアアアア!」

 怪物は皺くちゃの顔から生え出ている八本の手足を不気味にばたつかせながら、二人の前に現れた。怪物の姿は醜悪そのもので、黒煙のような髪を振り乱し、気味の悪い叫び声を上げながら、黒曜石のように黒い歯をのぞかせている。その表皮は、サイケデリックな色合いの、おぞましい光沢を放っている。

 「こ、こいつは、何?」

 怪物のあまりのおぞましさに、流石のアガサも、恐怖と悪寒を覚えずにはいられなかった。

 「夢魔ヒューリー、夢の世界の住人を餌とする妖怪…。」

 「よく知っているねえ。」

 ヒューリーが、不気味なしわがれた声で言った。

 「し、しゃべった?」

 「さっきの絶叫はただの威嚇。私たちの魂に恐怖を植え付け、捕食しやすくするための。この怪物は見た目よりも、ずっと狡猾な存在よ。」

 ヒューリーは、怖気の走る笑みを浮かべた。

 「よく知っているねえ、お嬢ちゃん。ああ、食欲をそそる。君の甘美な芳香に釣られ、地上へ出てきた甲斐があったよ。しかし、興味深い。妹の夢のみを存在根拠としる姉とは。うむ、これまでにない珍味だ。」

 ヒューリーの笑顔には、何とも言えない卑しさがある。

 この怪物は、弱者から搾取するのが好きなのだ。何か美しいものを、汚すのが好きなのだ。その点、目の前の白い少女は、最高の餌だった。

 「美しく、そして儚い存在…。最高じゃないか!ああ、今すぐ食らいつくしたやりたい!舌の上で、とろけていく魂を味わい尽くしたい!」

 老人そっくりのヒューリーの顔には、随喜の涙が浮かんでいる。

 「さあ、さあ、儂に食わせろォ!!」

 ヒューリーは八本の手足を少女目掛けて伸ばした。

 「危ないお姉ちゃん!」

 アガサは、翼を広げ、姉の前に立ちはだかった。

 しかし、ヒューリーは神父とは違った。アガサの静止を気にも留めず、少女に襲いかかった。

 「そんな!?どうして…。」

 「この怪物は、魂の気高さを心の底から見下しているからね。」

 少女が言葉を発した刹那、その魂が歪み始めた。

 「…これは。」

 アガサもかつて、見たことのある現象である。

 少女の背に八つの翼が、蓮の花の開花のように、幽玄を湛えて浮かび上がる。

 半円状に並ぶ、四本の翼が左右二対。カゲロウの薄羽のように白く透き通っており、満遍なくミステリアスな模様が刻みこまれている。どこか、妖しい美しさを想起させる翼だった。

 少女の緑色の瞳が瞬く。次の瞬間、白い翼に血管のように赤黒い不気味な筋が、無数に浮かび上がってきた。 

 「あ、ああ…。」

 少女の翼を見たヒューリーが、くぐもったうめき声を上げた。呻きは徐々に、絶叫へと変わっていく。

 「ああああああああ!」

 狡猾な夢魔の顔に苦悶が刻み込まれる。

 「魂が、どんどん歪んでいく…。」

 アガサの目は、魂の様相を把握できる。ヒューリーの強大な魂魄はみるみるうちに形を失っていく。

 「これが、お姉ちゃんの翼の力?」

 アガサの翼は、自身の魂を、強固な気高いものにし、その形を安定させる力がある。しかし、姉のほうは真逆―魂の形を歪ませ、不安定にして、最後には跡形もなく消し去る?そうした効果を持つのだ。

 「ああああ!こんなところでぇ!!おのれぇ!!おのれぇえええええ!!」

 ヒューリーは凄絶な断末魔を上げながら少女に飛び掛かった。しかし、その触手が届くよりも早く、ヒューリーの魂は完全に崩壊しきってしまった。

 「ち、畜生……。」

 ヒューリーの体がバラバラに霧散していく。

 「アガサ、終わったよ。」

 妹を思いやる、優しい声だった。あれほどの怪物を葬った者とは到底思えぬほどに。


 「アガサ、大丈夫か!?」

 その声と共に、蜘蛛博士は勢いよく扉を開けた。

 「ニャ!?」

 一緒に部屋へ飛び込んだゴイルは、すぐさま驚きの声を上げた。

 「……これは。」

 アガサの寝室の床には、ヒューリーの屍が転がっていた。

 「夢から侵入しようとしたところを返り討ちにされたようだな。」

 「……あの子、一体どれだけ強いのさ。むかつくことに、何もなかったかのような顔してスヤスヤ眠っているし。」

 呑気な寝息を立てるアガサを見て、ゴイルが言った。

 「……ああ、もう、腹立たしい!」

 そういってゴイルはヒューリーの亡骸をひっかこうとした。

 ―しかし、

 「馬鹿!やめろ!」

 博士の静止が入る。

 「ニャ!?驚かさないでよ、手元が狂うじゃないか。」

 「知ったことか。そいつの死体の中には『毒』がつまっていることも見抜けないくせに。」

 「……ニャ?…言われてみれば、もう壊れているのに禍々しい気がするような。」 

 「おそらくコイツ、侵入時に『毒』を体内に隠したんだ。さっきお前が言っていたように、痕跡を消すためにな。」

 「この野郎!脅かしやがって。」

 声を荒げるゴイルを尻目に博士が呟く。

 「それにしても凄まじい生命力だ。『毒』を体内にいれても平気なんだからな。しかし、毒も薬も、結局は似たようなものだ。さて、有効利用させてもらうとするか。」

 そう言うと博士はヒューリーの遺体を、丁重に地下の実験室へと運んでいった。


 再び静寂が訪れた夢の世界。白い靄の中で、二人の少女が楽し気に語らっている。

 勿論一人はアガサ、そしてもう一人は彼女の不思議な姉である。

 ふとアガサは、ある質問を姉に投げかけた。

 「そういえば、お姉ちゃんって名前あるの?」

 どうやら目覚めの後、姉の事を博士とゴイルに説明するとき、不便だと思ったようだ。

 「んー、無いことはないね。」

 「……なんか、妙な言い方だね。」

 アガサは首をかしげた。

 「色々あってね。私を夢の世界の住民にしやがった人が、勝手につけた名前なのよ。」

 「…なんか乱暴な言い方。」

 「だって普通に死んでいれば、夢の中じゃなくてもあなたに会えたかもしれなかったのに。」

 「言われてみれば…そうかも。」

 「どうしてか覚えているの。あの背中の翼で、暗い暗いどこかをさまよっていたら、急に明るい場所に出て、そこに変な恰好をした男の子が立っていて……。」

 「男の子?」

 「そいつが私を夢の世界の住人にしたのよ。その時に名前もくれたの。私たちのお母さんが、私につける予定だった言葉だったんだって。なんでそいつがそんなことを知っているのか、そのときは何故か不思議に思わなかったけど。」

 実は、生まれる前に死んだ子どもの魂は、本来死者の世界へ来ることもなく霧散するはずのものなのだ。それなのにこの少女は、ある程度魂の形を保ちつつどこか特殊な場所に到達し、その上夢の世界の住人になることができた。極めて異例の事態と言えるだろう。

 「という訳で私の名前はリュガよ。目覚めた後も忘れないでね。」

 「勿論だよ。もう絶対に忘れない!」

 そう言うとアガサはリュガに抱き着いた。この娘は結構、甘えん坊なのだ。今まで甘えられる相手がいなかっただけで…。

 「あらあらあら、可愛い子。」

 リュガは静かに目を閉じながら、アガサの頭を撫でてやった。

 そうしているうちに、アガサは眠りに落ちてしまった。余程心が落ち着いたのだろう。

 「あっ、寝ちゃったか。夢の世界で眠りにつくことは、裏の裏の表、すなわち覚醒を意味する。」

 別れの時が訪れたにも関わらず、リュガは微笑を崩さない。

 「もう一人ぼっちは終わり。」

 これからはアガサが眠りにつく度に、出会うことができる。その喜びで、リュガの胸はいっぱいだった。一時の別れの孤独感如き、入り込む隙も無いほどに。

 「少しの間『お休み』ね、アガサ。あと、これあなたにあげる。私よりも、アガサの方が役立てられるはずだし。」

 そう言うとリュガは、再びあの白い翼を展開した。


 「おっ、目覚めたね。」

 ねぼすけまなこをこすりながら起きると、傍らにゴイルがいる。

 「ああ、起きちゃったのか…。」

 あのモヤモヤとした感覚のかわりに、寝汗でぐっしょりと濡れた衣服の心地悪さをアガサは感じていた。

 「なあにが『起きちゃった』だい。ヒューリーに取り憑かれたんだ。永遠に目覚められなくなる可能性もあったというのに。」

 「ああ、そうなの…。」

 まだ眠いよと言わんばかりに、アガサは大きな欠伸をした。

 「あれ、アガサちゃん、その背中に生えてるのって何?」

 「えっ?」

  後ろを向いたアガサの目に映ったものは、リュガの持っていた翼だった。

 「あれれ!?」

 「アガサちゃん、それとっととしまって!見てると何だか不安定になってくる!!」

 「えーと、えーと…。」

 パニックになったアガサが翼をしまうのにアガサが悪戦苦闘していると、博士が部屋に戻ってきた。

 「おい、何を騒いでいる?……それは何だ!?」

 博士は本能的な恐怖を覚え叫んだ。

 「えーと、えーと、あっ、思い出した!」

 ようやく翼のしまい方を思い出せたアガサは、すぐさま翼を収容した。

 「ああ、もう、驚かせないでよ!」

 またまたゴイルが吠えた。猫のくせに。

 「……なるほど、新能力か。その翼の力でヒューリーを葬ったんだな。」

 「……正確にはお姉ちゃんが倒したんだけどね。」

 アガサはそれまでの出来事を二人に説明した。

 「夢の世界の住人の姉か…。どうやらお前たちの翼には、世界を越える力があるようだ。だから翼を得てまもなく、夢の世界へたどり着けたのだろうな。そしてあの白い翼は、リュガがお前に渡してくれたのだろう。」

 「私もそう思う。二人にお姉ちゃんを会わせせられないのが残念だよ。とっても優しかった。」

 「ふーん。」

 表向きは平然を装いながら、内心ゴイルは冷や汗をかいていた。

 (あの神父ですらてこずるであろう最上級妖怪を軽く倒しちゃったのに、何ケロッとしてるのさ。末恐ろしいよ、この子も、この子の姉も…。)

 実は博士も、似たようなことを考えていた。ただし、方向性が少し違った。

 (この娘、最初は気紛れで救ってやっただけだったが、かなり面白い素材だな。魂を安定させる力を持つ褐色の翼と、魂を不安定にさせる白い翼、とても興味深い。ただ…。)

 アガサの丸い頬っぺたの輪郭は、無邪気さを想起させる。しかし博士は…。

 (同時に、扱いが難しいと言える。)

 アガサの深層に眠る恐ろしい程の力に、目をつけていたのであった。


 

 

  

 

 

 


 


 


 

 

 


 


 

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