2.伍:六媒師現る!

 その日、俺は死界召喚法典を読んでいた。

 最近このようなことを高頻度やるため、それは日常のような物だった。

 条件は宝石をくれたら貰えるだとか、軍略の書をあげるとか色々あった。

 しかし、どれも無理そうだ。

 今日は二百十五ページ目までを見て終わりにしようとすると、急にリュウが俺に囁いてきた。


「誰かが、このツガヤの森にやって来た」


 俺はリュウに見せられたタブレット端末のような物を手に取り、見た。

 五人の集団を。

 そう、六媒師である!


「一応言っとく」


 リュウは言った。


「世界を救うためには世界を統一する以外方法は無い。なぜかというと、この世界の管理者にならなければいけないからだ」


 サラっと言われることにしてはとても衝撃的なことだった。


「俺たちも出来るだけアシストする。しかしいつか俺は死ぬかもしれない。その時は、ただ世界を統一するだけのことを考え、世界の破壊者を倒すことを考えろ」


「世界の破壊者?」


 俺には理解したくなかった。伸び伸びと過ごしたかったからだ。

 だが…訊いてみた。


「普通に世界を壊そうとする者のことを言う。別に深い意味は無い。今はまだ動き出していないのだが…恐らくそろそろ動き出す」


「だから俺を召喚したのか?」


 俺はリュウの後ろ姿にそう訊いた。

 リュウは答えた。


「お前が来たのは偶然だ。最近来た二十二人の中から『おやじさん』はお前を選んだだけ。なぜお前を選んだかは知らないがそれはきっと意味がある」


 そう言ってリュウは去った。

 恐らく侵入者の五人組を迎撃するつもりなのだろう。

 御武運を…。

 思わず俺は祈った。

 そしてそれと共に考えた。

(リュウの言ったとおりだと別に俺を召喚した人とかそういう人は居ないのか? じゃあやっぱり…転生でもしたのか?)

 そう考えた。


「ふっ」


 彼は笑った。

 俺はリュウを見た。

 リュウは勝ち誇った表情で六媒師の元へと行く。

 俺はそれを見ながら思った。

 世界を…あのような笑顔で救いたい。

 そう、それが一つの大きな目標、世界統一が出来た瞬間だった!

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