オーディオブックと英語版小説
野心あふれるセラピスト?~「サイコセラピスト」(原題 Silent Patient)
サイコセラピスト
https://www.amazon.co.jp/サイコセラピスト-ハヤカワ・ポケット・ミステリ-アレックス-マイクリーディーズ/dp/4150019479
Silent Patient
https://www.amazon.com/Silent-Patient-Alex-Michaelides/dp/1250301696
夫(有名フォトグラファー)を殺して喋らなくなった妻アリシア(有名画家)のセラピーを担当することになったテオ。野心家のテオは根気よくアリシアと接触を重ね、アリシアに言葉を取り戻させ、自分の出世を目指す。
テオの視点と、犯人とされる画家アリシアの日記を通して語られ、ついにはアリシアが言葉を発するまでに。
セラピーを通して、アリシアが絵でコミニケーションを始め、最後にはやっと喋り出したりするんですが、事件当日に起こったことを喋っても到底信じてもらえず。
日記には夫のお兄さんに迫られてたり、母を事故で、父を自殺で無くして叔母の家で育ったこと。従弟に借金を申込まれたことなど、有名画家の生活が順風満帆でなかったことが記されていた。
私のセオリーでは「心理学者やセラピスト主人公の話は、現実じゃそこまで普通調べなかろう?というところまで首を突っ込む」
んだけど、主人公のテオってセラピストもそうで、必死なの。テオの家庭も愛妻が浮気してて大変なのに凄いチカラの入れよう。現実逃避?誰かを助けることは自分を助けることにもなるのという心理は私もわかるんだけど。
!!!!下にネタバレ アラート!!!
映画になりそうな話だと思ったら、作者は映画のシナリオ書いてる人らしい。
私のセオリーでは、セラピストや心理学者が語り手の小説や映画はそのセラピストや心理学者が犯人のことが多い。または実は患者でしたとか。この話では犯人ではなかったけれど、テオが異常にこの仕事に熱心だったのは、事件の黒幕が自分だったと言うオチ。テオの夫婦関係や家庭環境を丁寧に描いていたのはそのためだったのね。
こういう小説は必ず伏線が仕込んである。
今回は、「なぜこの日記はこんなにブロックが欠けているのか?」と「アリシアの夫ガブリエルはセンシティブな妻をきづかういい人」という仕込みが何回も出てきた。「セラピストになった理由は自分を助けるため」とか「彼女を助けたい」とか。
違和感あるう。そういう場合大抵逆なのよ。
そして時間軸ずらし!犯人はアリシアで間違いないけどテオが教唆したこと、そしてアリシアが正常であり、彼女が本当のことをしゃべっても嘘と決めつけるため職場に乗り込んできたテオの大胆さ、結局助けられてないアリシア。その反撃。畳み掛けるようなラストのどんでん返しに、現場猫風にヨシ!と叫びました。
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