第12話
直木が美樹と一緒にホテルに消えたのは、それから一週間後の夜のことだった。その翌日、俺は直木との寝物語を聞くため、美樹を支局に呼んだ。
「酔っ払わせて色々と聞き出したわ。ゴキブリの大きな巣を見つけ出すために探査ロボットを使うって言っていたわよ」
「探査ロボットか。あり得るな。探査の範囲はどのくらいの規模かわかったか?」
「ゴキブリは暖かい場所が好きなんだって。だから地球上の温帯から熱帯にかけて、大ローラー作戦を仕掛けるって」
「探査ロボットの性能や規模は?」
「ゴキブリは体内に脂肪体という組織があるんだって。脂肪体はゴキブリが食べた栄養分を保存し、必要な時に利用するためにあって、ゴキブリが何億年も生存して来た源のような組織らしいの。その脂肪体を探知する最高度のスキャナーを、ロボットが備えているらしいのよ。だから、巨大なゴキブリの巣があるとしたらスキャナーが最高度の反応を示すので、その巣の在処がわかるらしいわ。ロボットは千台ほどを稼動させるって」
直木の野郎、よほど美樹の肉体に惚れ込みやがったな。部下にはあんなに口止めするクセに、美樹にはペラペラと喋りやがって。
「いつ頃から探査ロボットは動き出すんだ?」
「来月初めかららしいわ」
もう間もなくだな。
「ロボットのサイズとか特徴はわかるか?」
「三メートル角で、ボディは青と赤のツートンカラー。ボディから二本のアームが突き出ていて、地上ではタンクのようにキャタピラーで動き、リモコン操作で飛行物体にもなるって」
「なるほど。コントロールは何処でするんだ?」
「Kコンサルティングという会社のロングアイランドの先端にあるシステム司令室らしいわ」
「よし、上出来だ。たんまり特別ギャラを振り込ませてもらうぜ」
「また直木さんを呼んでちょうだい」
水割りをなめながら改めて美樹の胸とバディを眺めた。
(この肉体にご用心!)
即興の標語らしきものが浮かんだ。
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