第2話

◯鳥取県仁王堂公園(夕)・大山烏天狗像の前

   一人の女子高生、漆原サワ(17)が烏天狗像の前で祈っている。

サワ「烏天狗様 烏天狗様 どうかどうかお願いします」

烏天狗「おい」

   サワ、呼ばれたので見上げる。

   烏天狗像の隣に烏天狗(15)が立っていた。

サワ「烏天狗様が増えた…」

烏天狗「伯耆大山清光坊とはおれのことだ!」

サワ「…はあ」

烏天狗「はあではない! 四十八天狗の一つに数えられるおれを知らんのか! 

 TNG48だぞ!」

サワ「今風…」

烏天狗「まあいい漆原サワとは貴様のことか?」

サワ「そうですけど…」

烏天狗「ではサワ 貴様のひいひいひいひいひいひいひい爺さんがおれの親父殿

 から盗んだ『天狗の団扇』を返してもらおうか」

サワ「ひいひいひい…え?」

烏天狗「一度仰げば山を動かし津波を起こす天狗の宝だ」

サワ「それをわたしのご先祖様が盗んだんですか?」

烏天狗「そうだ」

サワ「…それ何年前の話?」

烏天狗「三百年前だ」

サワ「…江戸じゃん」

烏天狗「とにかくそれが貴様の家にあるはずだ 案内せえ」

サワ「えー…天狗なんか連れて帰ったらお母さんに怒られる…」

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