最終章 サイダー
長湯でのぼせた身体を引きずり、冷蔵庫に入れておいたキンキンに冷えたサイダーをグラスに注ぎ、それを片手にベランダへ出る。
ふと、あの夜の記憶が蘇った。
とにかく疲れていたんだ。将来の不安や若さを失う恐怖に。
過去を思い返しては、頭を抱えて怯えることに。
たった数ヶ月前のことなのに、遠い過去のように感じた。
グラスの中の浮かんでは消えるサイダーの泡は私だ。
今という一瞬一瞬が壊れていく。日常はその連続だ。大事なこともそうでないことも、いつか全部消えてなくなっていくんだ。
ベランダを覗くと、もうそこには新しい世界なんて広がっているようには思えなかった。
遠くで鳴いていたセミが短い命を終えたのを感じた。
終わり
チェンジ トロロうどん @himawarigakkyu
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