最後のエクスペルテ

作者 春沢P

すべてのエピソードへの応援コメント

  • あとがきへのコメント

     面白く拝読しました。
     お疲れさまでした。

     やはり臨場感あふれるコクピット描写と考証によるディテールが素晴らしいですね!
     あと捕虜になったパイロットの生活や帰還の過程は僕も興味を持ったことのある分野なので興味深く読ませていただきました。

     水を差してしまうようで申し訳ないのですが、2点ほど気になるところがありました。

    ・P-51Bを操縦していくのは自分だと言ったクイーンに驚くゼウス(第10話)
     Women Airforce Service Pilots(WASP)の存在を考慮するとやや違和感がありました。
     すでにご存じかもしれませんが、WASPはアメリカ陸軍航空軍の下で1943年半ばから44年12月まで運用された補助部隊で、女性パイロットによって構成され、飛行機工場と基地飛行場間の空輸とそれに伴うテストフライトを肩代わりしていました。イギリスのATAと似通った組織ですね(ATAは性別制限はありませんが)。
     むろんクイーンはWASPの所属ではありませんし、WASPの行動はおそらくアメリカ本土に限られていたのでゼウスがイギリスでWASPと関わる機会はなかったと思います。
     ただ第15話の記述でゼウスが(44年)夏に帰郷していることがわかります。これはWASPの活動期間に当たりますし、新聞等でもWASPの存在の是非は問われていたようなので、ゼウスがWASPの活動を直接目にすることがなかったとしても、存在自体は知っていてもおかしくないのでは、と感じました。
     ゼウスがWASPの存在を知っていて、「女性も飛行機を操縦するものだ」という認識があるとすれば、クイーンの答えももう少しスムーズに受け取れたのではないかと思います。
     もちろんゼウスがそういった認識を持っていない設定なのであれば全然妥当な反応だと思います。

     ウィキペディアベースの知識ですみません。下記ページを参考にしました。
    https://en.wikipedia.org/wiki/Women_Airforce_Service_Pilots


     あと第20話でATAという用語が初めて出てくるかと思います(違ってたらすみません)。Air transportation auxiliaryのアクロニムですが知識のない人は「なんのこっちゃ」になってしまう気がするので、「空輸補助部隊」など訳をつけていただけるといいような気がいたします。(でもこの辺りの適当なネーミングって、定訳もないし、本当は軍の部隊でもないし、訳すの難しいですよね……)



    ・スピットファイアMk.Ⅸの急降下(第20話)
     850km/hの表示を見た時、一人で勝手に空中分解の心配をしてハラハラしてしまいました……。
     スピットファイアは急降下制限速度が小さく、急降下機動はかなり制限しないと翼がもげる、という印象があったからです。
     ところが調べてみて驚きました。
     英語版ウィキペディアを見ましたが、900km/h台後半のレコードがいくつかあるのですね。しかもそこから高G旋回して復帰、きちんと帰還している。

     ただ、制限速度自体はP-51DやBf109Gより低く抑えられています。
     確認のためにマーリン60系スピットのパイロットノートを検索して見てみたのですが、制限速度は最大450mph(約724km/h)。しかもこれは高度2万フィート以下の数値で、6000mでは430mph(約692km/h)、10000mでは340mph(約547km/h)まで小さくなります。(引用31ページ)
     高度が上がるほど制限速度が小さくなるのはその後の降下でさらに加速することを加味しているからでしょうか。これについてはスピットファイアに限った話ではないのですが理由はよくわかりません。
     ちなみにグリフォンスピット系の制限速度は470mph(約756km/h)でした。いわゆる「スーパースピット」ことMk.22で機体構造全体が強化されて制限速度も上がったようなのですが、これは資料が見つかりませんでした。

    Spitfire IX, XI & XVI Pilot's Notes
    http://zenoswarbirdvideos.com/Images/spit/SPIT9MANUAL.pdf

    Spitfire XIV Pilots Notes
    http://www.drivehq.com/file/df.aspx/publish/vvjack/wwwhome/spit14.pdf

    P-51D-5の制限速度は505mph(約813km/h)、Bf109Gは750km/hでした。

    Pilot's Flight Operating Instructions, P-51-D-5
    http://www.wwiiaircraftperformance.org/mustang/P-51D-manual-5april44.pdf
    (24ページ;26ページの引き起こし高度グラフに650mphまで載っています)

    Bf 109G-6/U4 Flugzeug-Handbuch
    http://109lair.hobbyvista.com/techref/manuals/bf109g6u4.pdf
    (11ページ;かなりざっくりした設定なので実測ではないと思います)


     一方、急降下速度レコードではBf109Fで906km/hでした。
    http://www.wwiiaircraftperformance.org/me109/Me_109_Dive_Test.pdf
    (2ページ)

     P-51Dはマッハ0.85という記述を見つけましたが高度不明で時速換算できません。
     やはり900km/hくらいでしょうか。
    http://www.wwiiaircraftperformance.org/mustang/mustangIV-divetest.html
    マッハ0.7以上はポーポイズが出るので危険という記述もあり、制限速度の505mphはどうやらこの結果から設定されたもののようです。

     ということで、制限のわりにスピットファイア意外と急降下強い? という結果に。

     むろん、上述のレコードの通りかなり余裕をもって設定されているのが制限速度ですが、記録に挑むわけでもなく、制御不能に陥ったわけでもなく、試乗という状況でゼウスとユングが制限を超えて危険に挑むのか、という疑問は依然残ります。
     制限速度超えに挑むなら「ジョーカー攻略法を探るための特例」などの理由づけが欲しいところです。

     また、急降下の速度の乗り(突っ込み)は機体が重い方が良い、という印象があります。戦場が違いますが、アメリカ軍の対日本戦闘機戦術として急降下による離脱が有効だったのは、日本機の急降下耐性がおしなべて低かったこともさることながら、軽量さによる突っ込みの悪さも響いていたのではないかと思います。
     もちろんこれは全く印象なので参考になるかわかりません。

     上記、この作品をより高める一助としていただければ幸いです。

    2020/6/21 1:00追記
     返信ありがとうございます。
     さすが、深く考えておられますね。いささか空振りしてしまったようで恐縮です。

     クイーンの設定も納得がいきました。
     (ATAは一応外国にも募集をかけてますので、少数かつほぼ男性ですがアメリカ人も在籍していたようですね)

     急降下制限については計器速度と真速度の乖離をほとんど考慮せずに書いてしまいました。パイロットノートにもしっかりと"I.A.S"と記してあるのに……。すみません。

     ミリタリーのみならず創作活動全般を応援しております。ではでは。

    作者からの返信

    非常に丁寧なコメントありがとうございます。こんなに深く読んでいただけるなんて、感激です。

    若干の補足をいたしますと、「クイーンが操縦ができる」というのは非公認という設定です。WASPはUSAAF内で公知とは思いますが、アメリカ本土から外に女性のパイロットを飛ばすことはありませんでした。一方、イギリスはATAで英国人女性が機体の輸送を行っています。

    この状況で民間のエンジニアであの性格のクイーンならどうする。というのをしばらく考え、「英国でプライベートで訓練したパイロットにしよう」というのが小説の設定です。

    この辺はリアリティより漫画的な見栄えで考えたところなので、話の中にうまく溶け込むかは難しいところです。自分的にはこれでいいかと思ったのですが、描写にもう少し直すところが思いつきましたら考えてみます。

    大戦中の女性パイロットについてはもう少し補足説明的なものがあったほうがいいかもしれませんね。

    急降下速度については、突っ込んで調べていただいて大変ありがたいです。

    スピットファイアは主翼の構造からの類推で、あとは世界の傑作機でP-51より急降下でスピードが出たという情報を参考に書いています。もちろんマニュアル通りに飛ばす人達ではないということも考慮しています。

    パイロットノートで低い制限速度になっているのは、おそらく「計器でその数値まで」という意味と推測します。

    P-38も同様に、高高度では500km/h以下の制限速度ですが、これは計器読みで、真速度は700km/hを超えます。

    P-38のところで計器速度にするか真速度にするか迷った部分があります。さっそうとライトニングで出撃して500km/h以下しか出せないのはかっこ悪いですから。本文で中途半端な記述になっていますが、全体を見直して手を入れたいと思っている箇所です。

    あとはBf109が、ねじり剛性が非常に低い主翼で、実際には何km/hまでダイブできたのか、高速で補助翼が効かなくなるのことはどうやって対処したか、は情報を探しているところです。F型で906km/hという数字は初めて知りました。

    これも真相が見えてきたら記述を直すかもしれません。

    今後はミリタリー短編集でも立ち上げて、読み切りをちょっと書こうかと思っています。女子高生やロボットの短編ばっかりやりたいわけではないです。もしよろしければ今後もよろしくお願いいたします。

    2020年6月20日 23:25 編集済

  • 第2話 バーティゴへのコメント

    War Thunderの動画を見るのは好きなのですが、空戦の仕方や解説、搭乗員の心情を小説で読みたいと思っていました。この小説を読んでムスタングの動画を改めてみてうなずきながら、また小説を読みますね。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。励みになります。

    2020年6月13日 22:26

  • 第1話 一撃離脱へのコメント

    コクピットの描写から乗機G-6が導かれるまでの流れに惹かれました。
    降下開始のシーンもなんともクール。
    次話も楽しみにしています。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    実は1話は一度書いてから、公開直前に9割ほど書き直しています。「1話に載せるにはまだ早すぎる情報」というのが意外に多いことに気づきました。書き直して良かったと、改めて感じています。

    1話が一番よかったとか言われないよう、プレッシャーを感じつつ頑張って2話以降を書いてゆきたいと思います。

    2019年6月23日 20:34

  • 第1話 一撃離脱へのコメント

    松本零士さんの『ザコクピット』を思い出しました、淡々と綴られている描写がいいですねぇ淡々と綴られている描写がいいですねぇ🥴😊

    作者からの返信

    ありがとうございます。「わが青春のアルカディア」は頭の隅にありました。ドイツ側の描写はこんな感じで行きたいと思います。

    2019年6月14日 07:11

  • すべてのエピソード 4
  • 第1話 一撃離脱 2
  • 第2話 バーティゴ 1
  • 第3話 低空飛行
  • 第4話 胴体着陸
  • 第5話 ゼウス
  • 第6話 離陸
  • 第7話 コリジョンコース
  • 第8話 邂逅
  • 第9話 ユング
  • 第10話 クイーン
  • 第11話 特別警戒飛行隊
  • 第12話 新たな翼
  • 第13話 ライトニング
  • 第14話 粉雪
  • 第15話 追撃
  • 第16話 ショーティ
  • 第17話 ボーデンプラッテ
  • 第18話 脱出
  • 第19話 翼を失くした男
  • 第20話 スピットファイア
  • 第21話 グスタフ
  • 第22話 春
  • 第23話 対決
  • 第24話 機銃掃射
  • 第25話 帰還
  • あとがき 1