第25話
「大丈夫ですか、座頭さん?」
気が付けば、隣には蛟さんがいた。
僕が錏毘を倒して気を抜いたせいか、あの刃のドームも崩れさったようだ。
蛇苦蛇苦刀の毒に侵され悲鳴を上げていたバイバ達も消滅している。元々蛇苦蛇苦刀の毒では絶対に死ねないのだから、彼等からすればまぁ運が良かったのかもしれない。
「い……、いや。僕、人を殺したんだな……って。こんな感触がするんですね、人の肉って」
「……そうですね、決して心地の良いものだとは言えないと思います。……私もまだ慣れてはいませんし、慣れたくは無いですね。私の中で殺しが当たり前になるのは良いですが、何かを殺していると言う実感が無くなってしまうのはいやなので。殺しているという事実かろ逃げている様で……ね」
そう言って蛟さんは、静かに僕の目を見た。
そう言えば、説明以外で蛟さんが僕にここまで話をしてくれたのは、初めてではないだろうか(けっこう、はい、かいいえ。くらいだった。僕たちの会話は。それ以外は僕の一方通行が多かったかも……?)。
と言うか、励ましてくれているのだろうか。
僕がショックを受けているのをどこか察して。
「いや……、ありがとうございます。もう大丈夫です。彼等もこの場から離れる事をどこかで望んでいたと思いますし……。あ、あと蛟さん!どうして蛇苦蛇苦刀の毒を今まで使わなかったんですか?言ってくれれば僕も多少危険でも距離を取ったりしたのに……」
「あ……、いや……。何と言いますか。どこか諦めていた所があると言うか……。いや、座頭さんが弱そうですぐ死んじゃいそうに見えたから力を抜いていたとかそういう訳では決して無くてですね……」
「…………」
わかっていた事だが、改めて突き付けられると心が痛い。
もっとアウトドアな生活を送っておけば良かった。可能ならボーイスカウトに入隊するのも良かったかもしれない。
「いっ……!いやいや、座頭さんは凄いと思いますよ!!「千樹刀」っ!!凄かったです!!」
「まぁ……貰い物の力なんですけどね。僕何かにはもったいないって言うか……」
ダメだ。蛟さんは必死に励ましてくれているが、僕の心は中々立ち直らない。
物語の最初の方から思っていたことをだからか、中々ダメージが深いっっ!!。
「いっ!いやいやいやいや!!座頭さんは凄いですよ!!バイバの山に入った時も私について来てましたし!、……あっ!それに!!何事も無かったかのように死の淵から復活なさったじゃないですか!!」
「………………」
結局、ここから僕が立ち直るのに30分かかった。
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