第17話

……そういえば、死木島さんの話を聞いていて、少し気になる事があった。

微妙に、蛟の説明と違う所があったのだ。

死木島さんはこのヤバイバに送り込まれた武器……、刀は5本だと言っていた。

あの言い方だとおそらく、それだけしか送り込まれていないのだ。

しかし、蛟さんはこのヤバイバに入れられた時支給される武器には拳銃もあると言っていた……。

……これは、完全に僕の推測なのだが。

このヤバイバも、何百年と存在する内に、段々と変化していったのではないだろうか。

最初は送り込まれていた人間の供給が止まると、ヤバイバは自ら人間を欲する様に、無作為に人間をヤバイバに迎え入れ始めた。

これも十分な変化であると思うし……。もちろん、人間の死因も年々変化、多様化している。

毒殺、絞殺、自殺、銃殺……、おそらくヤバイバが形成された当時に無かった死因で送られた怨霊も、あの中には居るはずだ。

そんな外部から送り込まれていた変化が……、段々と、ヤバイバを変えていったのかもしれない。

「座頭さん!どうしますか!?」

「っ!ご、ごめん……。すこしモノローグを……」

「残念ながら今、私にあの量のバイバを捌ききる体力は私にはありません。……厳しい戦いになるとは思いますが、何とかこの場から撤退を……」

「……いや、大丈夫……だと思う。僕に1つ、考えがある」

そうだ、僕がここに帰ってくる事を選んだ理由の1つには……

僕の命を何度も救ってくれた蛟さんに、少しでもその恩を返すため……、叶うなら蛟さんを命の危機から救いたい。

流石に何度もその身を犠牲にして僕を守ってくれた人を見捨てて次の人生に進むことは、僕には出来なかった。

それに……、今の僕には蛟さんの足を引っ張らないための力も、前よりはある。

「頼むぞ……。嘘でありませんように……。そしてきっちり使いこなせますように……」

僕は一通りの神様に祈りをすませ

「刀身顕現っ!!」

力強く、そう叫んだ。

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