第11話
「いぃぃいぃやぁぁぁぁはぁあぁぁ!!!!」
地面の揺れの数秒後、
空から一人の男が下りてきた。
いや……、降ってきたと言う感じか。
隕石の様に、着地点に甚大な被害をもたらして。
ズドン!!と、轟音と共に地面に着地した男は、僕達の方、正確には蛟さんに若干注目しつつ、口を開いた。
「お初にお目にかかる……。俺の名は
軽い口調だった。
表情も最低限の警戒をしつつ、ヘラリと笑っている。
短く刈り上げた銀髪と、両腕に3個ずつ埋め込まれている様に見える丸い瞳の様な物体が特徴的な、少なくとも外見はほとんど人間に見えるその男、錏毘。
彼は、自分の事を「ギバイバ」と名乗った。
ギバイバと言えば最初に蛟さんが言っていた、この領域から僕達が脱出するために倒さなければならない、いわば門番の様な存在。
それが今、僕の目の前にいる。
僕は、蛟さんが何故集中を解かなかったのか。
何故蛇苦蛇苦刀を収めなかったのか。
蛟さんはおそらく、錏毘の襲来を予期していたのだ。
「これが何度目だい、蛟ぃ?100……、いや、200は越えたかな……?」
「…………趣味が悪い。それは私と遭遇した回数ではなく、あなたが私を狙い初めてから死んでいった私の持ち主達の数だ」
「くく……、そうだっけ?まぁいいや、それじゃあ今日もいつも通り……、君が251人目だ。蛟の持ち主よ」
「っ!!」
この時、初めて錏毘の瞳が、僕の瞳を射ぬいた。
瞬間、僕の体は一瞬完全に硬直……。おそらく僕の体が錏毘と僕の力の差を感じとり、僕の体は死を覚悟したのだろう。
蛇に睨まれた蛙。
「「「ギャビィ!!!」」」
「!」
突如、地面の下から3体のバイバが現れた。
僕を中心に囲む様に3体、前、右、左。3体は泥だらけになった体も気にせず、同時にその刃を僕に振るう。
「ふっ……!」
しかし、その攻撃は……やはりと言った所か。
僕の体に届くことはなかった。
ドサドサドサと、これも同時に3体のバイバの頭が地面に落ちる。
潰れた果実の様な。
おそらく誰にも見向きもされないであろう死体。
「……無駄にあなたも自分の体の一部を死なせてしまう事も無いのではありませんか?錏毘」
「無駄じゃないさ、現に君は今彼を救う為に刃を振るった……。体力を使ったのさ。……さて、後何体までもつかな?君の体は……」
ねっとりとした、粘着質な笑みだった。
その笑みは蛟さんに絡み付き、身動きさえも制限するかのごとく不快感を与える物の様だ。
蛟さんは今までに無いほど、顔をしかめている。
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