第2話

いやいやいや。

僕、座頭がそれなりに運が良い方だとは自他共に認めるところなのだ。

アイスの当たり棒を3回連続でだし。

正月のおみくじは3年に1回は大吉。

マークテストで勘で書いた答えは5問中1問は当たる。

決して僕は不幸体質では無いし、自分の人生が暗いものだと呪った事もない。

「……知らない間に拉致されて、こんなボロい家の中に転がされてる……。それだけで十分不幸だと思うの」

……確かに。

そう言えば、僕は未だに自分が置かれているこの状況を把握していなかった。

可愛い少女と見つめあっている事で満足してしまっていた。

「……今あなたが急に犯罪者に見えたのだけれど」

「気のせいだ。僕は善良な一般市民だ」

しかし、聞かないわけにはいくまい。

この、今僕が置かれている異常なこの状況は何なのか。

「……「不幸」って言ってるって事は、決してプラスの状況……、宝くじに当たってサプライズー、とかそう言うことではないんだよな?」

「……そうですね。その通り……。むしろ、宝くじが当たるのとは真逆と言って良いほどの「不幸」……。」

中々もったいぶるな。

そんなに言いにくいことなのか。

「……1つに、ここは現実世界。日本国内であることは保証します。詳しい場所はわかりませんが」

おいおい。

話の脈絡が無いな。

「もう1つ、この領域、名前を「ヤバイバ」……。ここに入れられた人間の6割は、この領域から出られず死にます」

「!」

急に、話に深刻さが増した。

ズドンと、僕の頭に殴られたような衝撃が走る。

「……それは……、確かに不幸だな……」

決して、余裕からこの様な言葉が出たわけではない。

逆に、余裕が全く無かったから……、ついさっきまでの話題で頭に残留していた言葉を何とか繋ぎ合わせて、平静を保とうと必死だった。

「ちょ、ちょっと待ってくれ……。もう少し詳しく!詳しく説明をくれ!!」

「……了解しました」


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