第4夜同期くんと同期ちゃん


「よ、よろしく…おねがいします」

「………」

「………」



いや、なんでみんな沈黙なの!?



「俺」

「?」



最初に話しかけてきたのは、橙色の髪と目をした男の子。



「俺、夕凪ゆうなぎ。よろしくな、来夏」

「あ、よ、よろ、よろしく」



その次に話しかけてきたのは、白い髪と緑の瞳の女の子。



「あ、ゆーちゃんズルイ!私は花蓮かれんよ。よろしくね、来夏ちゃん!」

「うん、よろしく」



少し安心して微笑む。

次に話しかけてきたのは、黒い髪に青い目の男の人。



「お、年少者二人に越されちまったな。俺は千景ちかげ。花魁をやってる。よろしくな、チビ助」

「千景…?」



どう呼べばいいんだ?

流石に呼び捨てはマズイだろう。



「歳上の人はね、兄さま、姐さま、って呼ぶのよ。だから千景兄さま!」

「よろしくおねがいします。千景兄さま」

「おう」

「あら、千景だけずるいわ」



澄んだ女の人の声。綺麗な声だなぁ…と、思っていると、前に来たのは右目の下に泣きぼくろがあるスッゲェ美人。



「はじめまして。来夏。私は千華ちか。さっきのうるさい男と名前が似ているけど、間違えないでね?」

「はい。よろしくおねがいします。千華姐さま」



うわぁ、本当に別嬪さんやぁ…。



「他の奴ら、挨拶したいのはわかるが、仕事の時間だ!さっさと支度をしろ!!」

一同「はい!!」

「来夏、夕凪、花蓮、お前さんらは俺と一緒に来い」

「「「はい」」」






何かな何かな。何があるかな。


って、また秋華さんの部屋かい!



「まず来夏。これからは俺のことはおやじ様かおやじどの、と呼べ」

「わかりました。おやじどの」

「よろしい。…あ、夕弦ゆうげん呼ぶの忘れてた」

「夕弦?」



誰それ〜



「俺の双子の弟だよ」

「あ、名前似てる」

「げんちゃんはね、ゆーちゃんとそっくりなんだよ!」

「ほへぇ、見てみたい」

「待ってろ、すぐ呼んでくる」




ダダダッ


「こら夕弦走るなッ!」


スパーンッ!


「!?」



ワッツ!?



「おい、お前だな、新入りは!」



そう、橙色の髪と目を持った男の子ー本当に夕凪にそっくりーが大きな声で言った瞬間



ゴンッ



と、いう鈍い音が響いた。



「っ〜〜〜〜!!!」

「静かにしろと言ったろう」

「おやじ様のばーかばーか!」

「夕弦ッ!」



あー、私この双子の見分け方わかったわ。



「騒いでる方が夕弦で、落ち着いてる方が夕凪」

「当たり〜」



花蓮が頭を撫でてくれる。

お姉ちゃん属性だな、此奴。



「ともかく。花蓮、今日から来夏と相部屋だ。夕凪と夕弦は変わらずだ。解散!」



おやじどのが、ヤケクソといった感じで解散命令を宣言する。



「よし、まずはご飯だね!」

「…あ」


ぐぅぅ〜〜


「「「「……………」」」」

「………」



恥ずかしっ!
















「改めて、これからよろしくね、来夏ちゃん」

「うん、よろしく、花蓮」



小さい火の灯りと、月光だけの一室で、私と花蓮は握手をした。



この世界にやってきて一日。


同期くんと同期ちゃんができました。

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