【001】螺線「序」


移ろう季節をセピアに過ごす

せない想いを胸に秘めたまま


これは旋回する哀しみの螺線

いつまでもひとりで紡ぎ続けるはずだった


そしてその旋回を

わたしは黙って

眺めているだけでもあった

自らのものであるにも関わらず


誰の人生?

あたかも傍観者のつもりで?

哀しみに暮れているの?


それこそ現実逃避


囚われた悲劇のプリンセス?

誰が望んだ?


わたしがひとりで哀しみの螺線の中にいたのは

目に見えない檻に、ただ、おののいていたから


現実と立ち向かう、勇気


ただ、勇気が、欲しい

――君は一生そうして過ごすのか?

未だせない想いの中の人がわたしに問いかけてきた

――檻なんか、本当はないんだ。


今、今、抜け出さないなら、一生……?


高鳴る鼓動

打ち破られる静寂

そして、哀しみの螺線の旋回は――!!


運命?

ちゃんちゃらおかしい

わたしは、わたし達の力で

手繰たぐり寄せたのだと、信じたい


移ろう季節をセピアに過ごし

それでも褪せない想いが動かした


散々遠回りをしたけれど

その期間ときが求め合うわたし達の手と手を

強く引き寄せたのではないか

ひとり紡いでいた哀しみの螺線は

今では極彩色ごくさいしきとなり貴方をも巻き込んで旋回している

この手だけは、決して見失わぬように、離さぬように

今、わたしは自らの意思で、強く思う


目まぐるしく、鮮やかに、

旋回する螺線にはいつも貴方が

強く太く、どこまでも高く、高く、望めぬ程に、遠く



2017/12/12

Revision 2019/04/19,20

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