第2話
俺様の首には、まるで何か紐状のモノで締め付けられたように赤い跡が生まれつきある。
死んだ母から聞いた話、『前世首を締められ死んだ名残り』だと聞いた。
実際どうなのかはわからないが、それはそれで面白い。
もしかしたら、前世の俺様はこんな跡を残すほどに、何かを悔やんでいたのかもしれない。
俺様が悔やむとしたら、なんだろう?
仕事していたその給料が、殺されたせいで受け取れなかった、なんて思い付いて有り得そうで笑ってしまう。
もしそうなら、この人生最期はキチンと受け取ってから死なないと、来世またこんな跡を残すんだろう。
単なる妄想だが、そうであればいいとさえ思えた。
尻尾の毛繕いをしながら、暇な一日を嫌った。
何かしようとしても、巣の掃除も何もかも、取り敢えず出来ることは済んだ。
食料も、昨日かなり狩ったから今日狩っても食いきれずに腐る。
畑仕事も、修理も全部済んでいる。
暇になると、どうしてだか気分が悪くなって、耳鳴りと幻聴に悩まされることになる。
だから、何かをしていないと。
暇が大嫌いなんだ。
ただただ、逃れたいだけの日々。
耳に足音と声が入り込んだ。
誰かが、この森に訪れたのだとわかる。
そして、それがこの巣に向かって来ているということも。
立ち上がり、自らそれに向かう。
慎重に、何を仕掛けてくるかもわからない。
身を潜め、気配を消して近付いた。
何者であろうと、俺様に危害を加えるというのであれば、容赦はしない。
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