第3話 偵察
第3話 偵察 上
「忘れ物はないか?
調子が悪い所はないか?」
「もう、子供じゃないんだから大丈夫です!」
偵察決行当日のノラの会議室で、遠足にいく子供の心配をするような声を出すアクトの声が聞こえる。
リエルも恥ずかしそうに顔を赤くしながら声を張ってアクトに返事をした。
再び確認をする。
キーウエポンの起動確認、作戦の確認、持ち物の確認。
熱心にリエルの面倒を見ているアクトに流石のベルも苦笑いを浮かべている。
「まぁ、そんな神経質にならんでもいいでしょ。
どっかの電子機器に適当にハッキングして今の獣共の大まかな動きを知るための定期健診みたいなやつだし。」
「心配ならさっさと終わらせろ。」
自分に対して辛辣なメンバーに急かされたアクトは出発の号令を出す。
人数は少ない為、小型のトロッコのような簡易な形状のゴーレムに乗りかなりの速さで進んでいく。
前回と違い今回は草木が生い茂る荒野だ。
獣たちの防犯センサの感度は調査済みで何のトラブルもなくグングンと進んでいく。
センサーの網を潜るように時折ジグザグに進んでいくと大きな壁が見えていた。
技術が進歩している今、色々と警備の方法があるが結局は高い壁が効果があるようでセキュリティーの不具合の保険で大いに役に立つ。
アクトは監視カメラを誤魔化す電波を流しすジャミングを起動させるとベルに壁の側まで更に加速するように促す。
「ベル、頼む。」
“心の0段”
アクトの指示に従い、ベルは杖形態のキーウェポンの杖先を壁にぶつけて赤い雷を放った。
放たれた赤い雷は壁に吸い込まれるように消えていく。
雷が消えたのを確認したアクトは胸元からレーダーのようなものを取り出す。
レーダーの持ち主を中心に50メートル位の範囲の生き物や障害物の有無を索敵してくれるらしい。
今回ベルはゴーレムではなくカモフラージュの聞く引き戸の扉のようなものを作っておりアクトのレーダーに敵が映っていないのを確認すると慎重に扉を開き始める。
「2人ともリエルを頼んだぞ。」
アクトがそういうと、アンナと共に中に入っていった。
二人が壁の中に入ったのを確認すると、ベルはクルクルと杖形態のキーウェポンをバトンのように回す。
「とりあえず、俺達はいつものように上空からか。
B.K、いけるか?」
「そっちこそ。
今回は3人だ、ヘマするなよ。」
“心の0段”
“心の0段 朱雀”
ベルは先にカモフラージュようの鳥型のゴーレムの群れを作り飛ばしていく。
その後に3人の足元に鍵穴のような大きな魔法陣を炎と共に出現させると大きな朱雀を出現させた。
3人を乗せるには十分な大きさで、ベルが首に座るように乗りB.Kが足元から現れて体勢を崩したリエルを体で支えるように背中に乗る。
B.Kが首にぶら下げているジャミングの電源を入れたのを確認するとベルは朱雀に飛び上がるように指示を出す。
リエルは、飛び上がる衝撃に備えて目を瞑り体をこわばらせる。
上からくる重力の圧が無くなるのを感じると見えた景色に思わず声を漏らした。
堅牢で大きな外壁の中には近未来のような真新しい綺麗な建物が並んでいたからだ。
アートを思わせる二等辺三角形のような大きなビルを中心に、それぞれの色をしたビルがカラフルに建てられている。
Nora 鷹美 @astta1x224
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Nora の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます