第2話 始動 中


アクトが連れてきた場所は、訓練所だ。

リエルはあの日、自分が起動させたキーウエポンを握らされている。



「内容は簡単だ。

キーウエポンを起動させて15分間、肉体強化をかけて俺と手合わせすること。


先ずは起動確認だ、試しに動かしてみろ。」



リエルはアクトの指示に従いキーウエポンを起動させる。

あの時は咄嗟の事だった為に少し不安だったが、何事もなくリエルのキーウエポンをはプシューと蒸気を出すような音を響かせて起動した。


全員が、安堵するなかアクトも続いてキーウエポンを起動させた。



「本当はゆっくり教えたかったが、偵察に参加したいようだから今回は必要最低限だけを伝える。


次に剣形態にしてくれ。

起動させられたんだ、何となくやり方はわかるはずだ。」



体かわかっているみたいに無茶苦茶な説明でわかるのだろうかと、心の中で毒づいたが不思議とやり方がわかる。

ファンタジーかよ等と考えながらキーウエポンを剣形態にする。


少し動作が遅いもののリエルのもつキーウエポンは機械音を響かせて無事に剣形態なった。




「リエルの持っているソイツは、3つの形態に変形できる通常型のキーウェポンだ。

体の力を最大限に使える剣形態、技の力を最大限に使える銃形態、心の力を最大限に扱える杖形態の3つになれる。


こいつの不便な所は、ポーブを扱う際にそれに適応した形態にしなければいけない所で体を使いたいときやかけ直したいときは剣形態にしてくれ。


いきなり出力を上げても体が耐えられないから、体の出力は今回は1段で頼む。」



“体の1段”



アクトは手本を見せるように変形させたキーウエポンから赤い雷を体に纏わせた。

大丈夫とわかっているが、雷を体に纏わせるなんて中々に勇気がいる。


ゴクッと喉から音を鳴らした後に大きく深呼吸をして意を決してキーウエポンに力を込める。



“体の1段”



リエルのキーウェポンからも赤い雷か現れて体を包んでいく。


怖くなって咄嗟にリエルは咄嗟に目を瞑ると自分の体を雷が伝う感覚を感じる。

ピリピリとした弱い静電気のような感覚が全身に回ると血が熱くなり全身の運動をした後のような感覚になった。



ゆっくりと目を開けるとクスクスと笑うアクトの姿がある。




「…すいませんね、こんなので驚いてて。」


「悪い、久しぶりの初々しい感じで思わず。

だが安心しろ、あのアンナなんて最初は悲鳴を上げていたんだリエルは将来有望だ。」



何故、アンナの事を言いたのだろう。

ちらりとアンナに視線を移すと訓練中だから静かにしているが、終わった後に向けて手首の準備体操をしている。


リエルは見なかったことにして、再びアクトを見る。



「他の仲間もいるから、偵察だけなら1段だけでも十分だ。

手合わせと言っても俺は一切手を出さない、好きに打ち込んでこい。」



どうせやるなら、少なくともあの余裕な表情を崩してみたい。

そう意気込むように息を大きく吸い込んだ。



「よろしくお願いします!」



吸い込んだ息を吐きだすようにそういうとリエルは、アクトに向かって走り出した。






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