第3話 社食のおもしろメニュー

 営業所には社食がある。

 5階建ての最上階にあって、業者さんが営業している。

(味はそこそこ。麺類は美味しい)


 独身者はほとんど利用している。

 技術課で利用しないのは、課長と副長。(愛妻弁当があるから)


 例外は野川さん、45才独身。お母さんのお弁当があるから。(親孝行だね!)


 社食でエヴァンゼリンが迷うのは誰と食べるかって事だ。


 最初は指導係の人と食べていたが、この人がまぁエヴァンゼリンとウマが合わなかった。現場作業員に女子が入って来るのが気に入らなかったのだと思う。


 女には向かないとか(男子だって向かない人居ると思う)、力が無いとか(アキヒコさんよりあるよ)、背がでかすぎるとか(そりゃアンタの好みでしょ)、散々言われて、指導期間が終わってからは一度も同じテーブルでは食べないようにしている。


 それ以降社食での昼食は、同期か年の近いアキヒコさん達、後はパートのお姐さん達と取るようにしている。


 今日は同期の泉田はるかと食べに来た。はるかは事務職での採用で、今は営業所1階のお客様カウンターで勉強中だ。


 可愛くてふわふわの髪でおまけに背が低い。(この会社の女子社員は皆小柄だけど、何故かしら)


 彼女は背が低いのをちょっと気にしているけど、エヴァンゼリンから見たら真逆の超絶可愛い系女子だ。


 並んで歩くとそのギャップがすごい。


 はるかは良く「身長わけて欲しい」って言うけど、エヴァンゼリンは分けたいとは思わない。(この見た目も含めて自分だもんね)


 高身長モデル体型は自分でも気に入っている。(彼氏が出来ないのが悩み)


 さて、社食の話だ。


 値段は安いがそれなりだ。

 日替わりメニューが人気で限定何食と決まっている。


 月に一回、新メニュー企画があって1週間前から予告ポスターが貼られる。(手描きの味のあるやつ)


 今日はその企画ものが出される日。

 その名も『二色丼』!!


 このメニューを見たとき、エヴァンゼリンの脳内には電流が走った。


(何?二色丼って何?)


 カツ丼×牛丼?

 唐揚げ丼×ソースカツ丼?

 親子丼×ハンバーグ丼?


 いやいや、海鮮系なら組み合わせはほぼ無限じゃない?


 ヅケ丼×ホタテ丼?

 イクラ丼×マグロの赤身丼?

 ネギトロ丼×イカオクラ丼?


(エヴァンゼリンは日本育ちだから刺身にも抵抗はない)


 くぅーっ、何が来ても当たりの気がする!もう、この日はメニューに迷わない。


 そして楽しみしていよいよ今日、その二色丼に会えるのだ。


 はるかと一緒にいの一番にレジに並ぶ。(会計が先なので)


「二色丼お願いします!」

「あたしも」


 ワクワクして待っている2人の前に出てきたのは…!


 カレー×ハヤシ。


 目が点になるエヴァンゼリン。

 はるかは、あはははって笑う。


「確かに二色丼だけれどもさー」

「どっちも美味しいじゃない」


 美味しい。

 カレーライスもハヤシライスもどちらも美味しい。(けど同じ皿に盛らなくても…)


「あーあ、期待しすぎた!」


 つづく


 この作品はフィクションです。

 実際の団体及び人物と一切関わりありません。似ていても非なるものです。

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