ついてきた水滴
大学生の頃の知り合いに久しぶりに会ったときのこと。夜のファミレスで話をした。閉店近くで僕ら以外の客は居てなかった。
その知り合いはいつのまにやらyoutuberになっていたらしく、いろんな土地をめぐってレポートしていることを聞いた。
さらに聞けば、
・夜中に廃墟に行って来た
・入ってみると水溜まりが各部屋にある
・奥の部屋に入ると水溜まり。水滴が落ちて音をたてている。
・雨漏りかな?と天井にライトを向けると人のようなものが居て、ヨダレが垂れていた。
とのこと。
それをたんたんと話するので、途中から僕は勘繰った。
怖い話をして、怖がっている様を撮影しているのではないか、と。
話を聞きながら左右を見渡しても他の客はいない。カメラのようなものも無い。
じゃあこいつは今、何のために話しているのか?
「それでな。そいつが今も憑いてきていているんだ」
ポタッ
机の上で音がする。
水滴。
それに気づいたとき、その横にもうひとつ、水滴が。
「俺の代わりに上を見てくれないか。ただの雨漏りだって、言ってくれないか」
僕は上を向かなかった。向けなかった。
ということがあって家に帰るとすでに日が変わっていた。
押入れのおばあちゃんに相談したかったが夜が明けてからにした。
ところが、結局相談ができたのは4日ほどたってからだった。
理由は簡単で、寝たら忘れていただけだ。
押入れのおばあちゃんが言うには、不法侵入の犯罪者やな。付き合いやめとき。ろくなことならんで。
その知り合いはその後もしばらくはyoutuberをしていたが、もう2年以上更新がされていない。こちらから連絡を取ることもないので、どうなったかは知らない。
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