第3話 発動条件

 あっという間に半月が立った。

 

 学園での生活はまぁまぁ楽しい。前の高校と比べたら。

 

 六月の上旬。

 

 いつも通りに早乙女と下校していた。

 

 学園は全校生徒十五人の小さな施設だ。

 

 そこの生徒にはある細胞を体内に埋め込み、自分の体内にある細胞(HAZARD CELLと定義する)を最低限外に漏らさない工夫が施される。

 

 なので、一応、外出は許可されている。

 

 そんな時に、国に非常事態が起きた。国が『国家非常事態宣言』を発令したのだ。



 軍事学園はもともと、俺達を戦争に利用するために、この学園を作ったのかもしれない。

 

 俺達は戦争に派遣された。



 「あくまでも防衛の為の行使だ」

 

 首相は『国家非常事態宣言』の発令をこのように釈明した。

 

 この国を守るために、裏で俺達は利用される。はっきり言う。かなり怖い。



 俺達は軍用のヘリに乗って、最前線に向かう。

 

 早乙女は無言で俺の横に座っている。彼女は何を考えているのだろうか。

 

 現地に着くと、辺りで銃声が響いている。

 

 そんな世界に足を踏み入れる。いつ殺されるか分からない。あれほど死にたかったのに、改めて死に近づくと、身体中が恐怖心で襲われてしまう。

 

 もちろん俺達に銃は無い。武器は自分の能力だ。

 

 敵はなぜ、この国を攻めているのだろう。理由が分からない。

 

 敵の軍隊は俺達の存在に気づいたらしい。

 

 こちらの軍人の一人が撃たれる。

 

 俺は能力(Time reap)を使い、無かったことにする。

 

 この能力も、訓練を積み重ねて出来た力だ。



 学園の中にある訓練室。

 

 俺はそこでひたすら能力を使えるように努力していた。

 

 でも、うまくいかないことの連続だった。

 

 「能力には発動条件があるの。それを見極め、利用することが大切」早乙女が語る。

 

 俺は早乙女の言葉を頭の中で想像しながら、能力を発動させようとした。

 

 感覚が急に冴えた。

 

 足が宙に浮いている感じもする。

 

 俺は先ほどの言葉を想像した。

 

 「能力には発動条件があるの。それを見極め、利用することが大切」

 

 あれ? この光景……。前にも経験したような。

 

 いまいち能力の発動条件は分からなかったが、とりあえず、早乙女の言葉を想像したら能力が使えるようになるらしい。



 国の防衛作戦が始まった。




 

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