5

退屈な街へ帰って来た僕は唖然とした。

光速艇から降りると数日前まではいたはずの人類が街から姿を消していたのだ。

「おぉ、アンタか、地球まで通信が届かないもんだから無事か心配だったよ」

声の主は存在すら忘れかけていた携帯端末から齎された。

「みんなはどこに...?」

「"ここではない何処か"さ、次の星へ行っちまった。もちろん俺もだ」

「なるほど」

人類の旅は続く。

僕が反対方向に意思を向けていても。

彼らは未来へと進む。

「アンタはどうするんだ?」

「どうしましょうかね」

僕は反対方向に向かって進む。

「そうか、お達者でな」

「代理店さんこそね」


青い星、地球へと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

2301年地球の旅 とりをとこ @toriwotoko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ