真珠のカーテン

Rin

真珠のカーテン

空に向かって光を放たないでください

私にだけ心を預けると

からっぽになったあなたの七色

雨粒のように降ってきた真珠の

カーテン


9時10分の時計の針 汽笛の音がなる

ホームで「さようなら」と言った一言が

君の横顔が美しく 蜃気楼のようにゆがんでいた


最後まで涙を永遠に 戻ることもない

切符を買いに 不思議の国へ


空に向かって光を放ってください

天国にいるあの人に

真珠のカーテンを作ってあげると

高く舞い上がった光を 受けとめて


淡いオレンジの夕暮れに 一人暮らし

雲に被う道筋を 私に案内して


最後まで涙を永久に 戻ることのない

ボートで誓った あの言葉


最後まで涙を永久に 戻ることのない

彼の差し延べた

塊は

砕け散った欠片のように


二度と帰らない あの二人に



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真珠のカーテン Rin @Rin_2019

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