第16話
年頃の女性が同じ部屋に居て、入浴をしていると思うと、なんだかソワソワする。
これは俺と同じ年頃の男性なら誰しもが思う事だろう。
そう思わない奴は、恐らく相当遊んでいる奴だ。
風呂場から物音がする度、俺はビクッと肩を震わせていた。
「はぁ……耳栓でもするかな……」
俺はそんな事を考えんがら、テレビの音量を少しだけ上げた。
愛実ちゃんがお風呂に入ってから、もう30分が経とうとしていた。
女性の入浴は長いと誰かが言っていた気がするが、長すぎる気がする。
俺なんか15分で上がってくるのに……。
そんな事を俺が考えていると、お風呂場のドアが開く音がした。
「ふぅ~良いお湯でしたぁ~」
「それはよか……ってちょっとまって!!」
「ん? なんでですか?」
キョトンとしながら首を傾げる愛実ちゃん。 俺がそう言った理由は、愛実ちゃんがバスタオル一枚で戻って来たからだった。
「服を着なさい!」
「え~、だって結局脱ぐのにぃ~」
「なんでだよ!」
「あ、次郎さんは脱がせたい人でしたか! それは失礼しました! 今直ぐ服を着てきます!」
「そうでは無いが、なんでも良いもから服を着ろ……」
俺はため息を吐きながら、愛実ちゃんに背を向ける。
最近の女子高生の羞恥心はどうなっているのだろうか?
普通男にあんな姿を見せないだろ……。
頭を抱えながら、そんな事を考えていると、愛実ちゃんが服を着て戻ってきた。
「いやぁー次郎さんって結構マニアックなんですね」
「だ・ま・れ!」
「あうっ! い、痛い……」
俺は愛実ちゃんの頭にチョップを食らわせ、テレビの方に視線を戻す。
すると、愛実ちゃんは俺の背中にいきなり抱きついてきた。
「どーん!」
「うお! な、なんだいきなり!」
「えへへ~、次郎さんの背中あったか~い」
「やめろ! 色々当たってるだろうが!」
そう、色々と当たっている。
愛実ちゃんの胸にある二つの大きな物が……。
もちろん俺も男なので、それなりに反応してしまう。
愛実ちゃんが背中に乗っていて助かった。
これなら前のめり気味に座っても不自然にはならない。
しかし、俺の息子も収まらない!
どうしろって言うんだよ!!
俺は一人でキレながら、背中の愛実ちゃんの方を見る。
「ん? なんですか?」
何がそんなに嬉しいんだよ……。
思わずそう言いたくなるような笑顔で、愛実ちゃんは俺の方を見ていた。
「いい加減下りろ、重い」
「あぁ、酷いですよぉ~女の子に重いなんてぇ~」
「重いんだから仕方ないだろ」
「えぇ~、じゃあ次郎さんの膝の上に乗せて欲しいです!」
「はぁ!? そ、そんなの嫌に決まってるだろ!」
特に今はヤバイ!
膝の上なんか座られたら、絶対に気がつかれてしまう。
「じゃあ下りません」
「なんでだよ!」
「良いじゃ無いですか、お風呂上がりの女子高生ですよぉ~、良い香りしますよぉ~、柔らかいですよぉ~」
「自分で言うな!」
俺は無理矢理愛実ちゃんを背中から下ろし、テレビに集中する。
「む~そんなにテレビが良いんですかぁ?」
「あぁ、俺は今この番組に集中してるんだ」
と言ってもまったく集中なんてしてないんだが……。
「グルメ番組をそんな真剣に見ます?」
「見るの!」
本当はまったく興味なんて無いが……。
愛実ちゃんはそんな俺の隣にやってきて、俺の肩に頭を乗せる。
「じゃあ一緒に見ましょう」
「う、うん……まぁ良いけど……」
愛実ちゃんはその後、大人しく俺とテレビを見ていた。
「この芸人さん、最近よく出てますよね?」
「そうだな、でも来年には消えてそう」
「あ、ここのパスタ美味しいそう!」
「昼に食っただろ?」
「いやー、やっぱりプロの方が……」
「悪かったな!」
愛実ちゃんに文句を言いつつ、俺はテレビに目をやっていた。
気がつけば二人でテレビに見入っており、時刻は21時になっていた。
喉が乾いたなと思い、俺は立ち上がって冷蔵庫に向かおうとする。
「あ、どこ行くんですか?」
「あぁ、飲み物を取りに行くだけだよ、愛実ちゃんも何か飲む?」
「はい! 私も行きます!」
愛実ちゃんはそう言うと、俺に続いて立ち上がった。
「何飲む? ジュースにお茶、あとお湯を沸かせばココアもあるけど?」
「じゃあお茶が良いです」
「わかった、じゃあコップを……」
そう言って俺が愛実ちゃんのコップを用意しようとした瞬間、テレビに写っていたニュース番組の音が耳に入ってきた。
『次のニュースです、未成年の女子高校生を自分の部屋に寝泊まりさせたとして、今月10日に会社員の男が逮捕されました』
「え?」
「次郎さんどうしたんですか?」
『男は調べに対し、未成年とは思えなかった、などと供述しており……』
これ……大丈夫なのだろうか?
俺も女子高生を家に泊めてるけど……逮捕とかされないよな?
なんて事を俺は愛実ちゃんを見ながら考える。
金を渡して、近くのビジネスホテルにでも宿泊させるべきだったのではないだろうか?
そんな事を考えていると、愛実ちゃんもニュースを聞いていたらしく、頬を膨らませて俺に言う。
「むー、まだ気にしてるんですか?」
「いや、そりゃあね……あんなニュースしてればね……」
「大丈夫ですって、警察が来ても恋人同士なんです! って言えば万事解決ですよ!」
「まぁ、そうだろうけど……」
「そうですよ、今から少子化対策するんだから邪魔しないでよ! とか言っておけば、警察はきっと黙ります!」
「警察が来たとしても、それは絶対に言うなよ……」
まぁ、確かに考えすぎかもしれない。
まずここに警察が来るなんて状況が考えラれ無いしな。
「まぁ、良いか。俺も少し考え過ぎてたのかもしれな……はい、愛実ちゃんお茶」
「ありがとうございます、今夜は21時からお笑い番組のスペシャルがありますし、まだまだ夜は長いですね! 私わくわくしてきました!」
「早く寝ろ、高校生」
「良いじゃないですか~今日くらい、どうせ明日もバイト休みですし」
「まぁ、そうだけど……」
「はっ! それとも、眠った私に……何かエッチなイタズラを?」
「しねーよ!!」
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