不思議な女の子
勝利だギューちゃん
第1話
高校生ともなると、親とは会話が少なくなる。
まあ、当然だろう。
同じ年ごろの、連中といる方が楽しい。
でも、それは高校生に限らない。
人間とは、いくつになっても、同年代といる方が楽しい。
話が合うからだ。
僕も例外ではなく、親との会話は少ない。
でも、時折ではあるが一緒に出かける事はあるし、
うざいと思ったことはないので、距離は近いのかもしれない。
「ただいま」
「お帰り」
挨拶だけは、するようにしている。
部屋に入る。
「やあ、お帰り」
女の子がいる。
姉妹でも、従姉妹でもない。
赤の他人だ。
幼馴染でも、もちろんない。
「また来てたのか」
「またとは失礼ね。ちゃんと断ったんだからね」
「そうですか・・・」
どっと疲れる。
「うんとね、お母さんと話したんだけど」
「なんだって?」
「嫁に来ない?だって」
「母さん、娘が欲しかったからな」
いつも、ぼやいていた。
「あんたが、女だったらよかったのに」と・・・
「でも、君は女性的だね」
「悪かったな」
「褒めてるんだよ」
「どこがだ」
いちいちしゃくにさわる。
「だって、君は女子力が高いもん」
「うるさい」
男性はこうあるべき、女性はこうあるべき、
その考えは間違っている。
「ところで・・・」
「何?」
女の子に質問をする。
「君の何者だ?」
「今更訊く?」
「ああ」
女の子の返答を待つ。
「許嫁だよ」
「うそつくな
「わかる?」
女の子は笑う。
「さてと?」
「お帰りですか?お気をつけて」
「それだけ?」
「というと?」
「男なら女の子を、送りなさい」
「君は守る必要はない」
「どういう意味よ」
怒りだす。
結構面白い。
「じゃあ、帰るね」
「ああ。明日はどうする?」
「明日は、この子にしようかな・・・」
本棚にある美少女フィギュアを指差した。
「了解。合わせるよ」
「うん、楽しもうね」
女の子の体から、魂が抜けだした。
この女の子は実体を持たない魂だけの存在。
フィギュアの中に入る事により、命をえる。
そして、そのフィギュアのキャラになりきる。
これが、僕の楽しさだ。
魂となると、当然声しか聞えないが・・・
「じゃあ、また明日ね」
「ああ」
「それと、もしもだけど、気にいった子がいたら・・・」
「ああ」
「そのまま、君の奥さんになってあげるね」
女の子の笑い声がする。
もちろん、冗談だろう。
でも僕は、心の中で呟いた・・・
「頼む」
不思議な女の子 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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