127.カイン王子の決意

話があるからと言われ、カイン王子は人気の少ない場所までアリーを誘い、そして……


「最初に出会った時から貴方が好きでした。生涯私と共に歩んでいただけませんか」


と、アリーに愛の告白をした。アリーはこの告白に驚いたが、すぐに


「ごめんなさい!カイン王子!私は……!」


アリーは頭を下げてカイン王子の告白は断った。断られたカイン王子は苦笑を浮かべ


「ふふふ……こういう結果になるのは分かっていましたが、辛いものですね……やっぱり……」


カイン王子はそう言った。その表情は確かに辛さもあったが、どこかスッキリしたという感じがするようにアリーには見えていた。


「私がかつての災厄に囚われたのは……あのウィンドガル王国建国祭の日です……」


カイン王子がソレの力の一端に囚われたのは、建国祭でライアットがアリーに言った、アリーの恋心の自覚を促したあの発言の時だった。


「ライアット様に自分に恋心が向いてないと言われた時、そして、その恋心が別の人に向いてると言われた時、焦りと動揺と……やっぱりそうなのかという気持ちでいっぱいになりました……」


カイン王子は知っていた。アリーが誰に惚れているのかを……その相手が誰なのかも……何故ならアリーのその人を見る目が、自分と同じだったから……


「しかし、諦める事は出来なかった。貴方は私が最初に恋をした相手だったから……だから……諦めたくなかった……そんな弱い心を……利用されたんです……」


「カイン王子……」


カイン王子は悲痛な表情でそう語ったが、すぐに真剣な表情でまっすぐアリーを見つめ


「貴方との婚約を解消します」


カイン王子はハッキリとそう宣言した。その宣言に驚くアリー。


「今回の一件で私がステインローズ家に迷惑をかけたのはもう噂になってます。今回の婚約破棄もそれが原因だと思う人の方が多いでしょうから、貴方がキズモノ令嬢扱いされる心配はないでしょう。まぁ、最も貴方にはそちらの方が都合がいいかもしれませんが……」


確かに、カイン王子の言う通り、アリーがキズモノ令嬢扱いされたら、アリーに言い寄る者はいなくなるし、それを理由にアンナに近寄る事も出来るだろうから……


「それと、勘違いしないでください。私はまだ諦めたつもりはない。貴方と同じで初恋を諦めるつもりはありません。婚約という縛りを取り払い、0から貴方を巡って彼女と勝負しますよ。例え勝ち目は0に近いと言っても……ね……」


そう宣言するカイン王子の瞳は、アリーがアルフ達に宣言した瞳とよく似ていた。


「だから、覚悟してくださいね。貴方が初恋相手に躊躇していたら、遠慮なく私は貴方の心を貰っていきますからね」


カイン王子はフッと微笑を浮かべて、その場を去って行った。















「ふ〜ん……たまにはカッコいいところ見せるじゃない」


「覗きは王族として趣味が悪いですよ。姉上」


カイン王子が先程いた場所からだいぶ離れた場所で、自分を待っているかのように立ち塞がっていたのは、カイン王子の姉ヴィオラルドだった。


「残念でした〜!今はヴィオル・アスカルド侯爵令嬢だから王族じゃありません〜!」


確かに、今は髪の毛が紫色なので、ヴィオラルドではなくヴィオルである。


「いや、貴族令嬢でも覗きは趣味が悪いですよ。それに、もう侯爵ではなく、公爵ですよ……」


カイン王子は呆れたように溜息をついてそう言った。


「あっ、それと……せっかくの告白も、そのタンコブじゃ締まらないわよ」


「誰のせいですか!?誰の!!?」


王族が声を荒げてはいけないと分かっていても、カイン王子はそう叫ばずにはいられなかった。


結局、このタンコブはよほど強い念がこもっていたせいか、1か月以上経っても引かず、カイン王子はそれでも外交する必要があり、諸外国にあのタンコブを晒す事になった……

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