126.カイン王子達が謝罪に来ましたが、それより凄く気になるものが……
お父様とお母様がお見舞いに来た日から翌日、カイン王子達が私に今回の件で謝罪に来ました(リンクスは武者修行の旅でいないが……)が、どうしても気になるものがあり、私の視線はどうしてもそこにいってしまいます。
「この度は本当に申し訳ありませんでした!!!」
カイン王子が代表してそう言い私に頭を下げる。他の2人もそれに続くように頭を下げた。
ちょっ!?やめて!?頭を下げられると、ソレが凄く目立つから!?あっ!?ソレと言っても、私が退治した災厄じゃないわよ!?
って!?アリーっては必死に笑いを堪えてるわ!?そんな姿も可愛いわね!!キョウカとサクラは明後日の方向を向いてるけど、めっちゃ肩が震えてるわよ!?メルルだけはこの状況にアワアワしてるわね……
「あの……ヴァン王子……どうしても気になるものがあるんですが……」
「出来れば聞いてやるな。本人達もよく分かってる事だ」
一緒に来ていたヴァン王子にそう言ったら、何故か死んだ魚のような目をしてそう言った。
いやいや!?気にするなっていう方が無理でしょ!?アレは!!?だって……カイン王子達の頭上に……昭和の漫画かよって言いたくなるようなタンコブが、トーテムポールみたいに出来てるし!?コレを気にするなっていう方が無理でしょ!?私は謝られてる当人だから必死で我慢してるけど!当人じゃなかったらアリー達のような反応してたわよ!?
こうなったら最終奥義!!明鏡止妹!!心を全て妹に!!う〜ん!今日もうちの妹は天使みたいに可愛い♡ふぅ〜……これでよしっと……
「カイン王子。頭を上げてください。悪いのはカイン王子達ではなく、かつての災厄なのですから」
更に言うなら、その災厄の元は「私」なわけで……正直カイン王子達を責める気にはなれない……
「しかし……私達は罪のないあなたに罪を着せてしまったのは事実だ……」
う〜ん……どうやら相当罪悪感があるみたいね……これは何か頼まないと収まりそうにないか……だったら……
「私の罪を偽証した令嬢達の罪を減刑に出来ませんか?」
私がカイン王子達は驚いて私を見る。
「父上に頼めば出来なくもないですが……本当にいいのですか?あなたに罪を着せるのに加担したのに……」
「彼女達の事情はお父様達から聞きました。彼女達には彼女達なりの事情があったんです。彼女達も立派な被害者みたいなものでしょう」
親の借金返済に苦悩したあげくの犯行だ。彼女達を責めるのは間違いだろう。本当なら「私」のせいで今回の騒動を起こしたエリザベス元公爵令嬢も減刑してほしいけれど、様子を聞く限りそれは難しいだろう……
「……分かりました。父上達に掛け合って令嬢達の罪を減刑してもらうようにしましょう」
「私も。父上に掛け合ってみます」
カイン王子に、現宰相の息子のグラン様がそう言ってくださるなら大丈夫だろう。令嬢達が牢から出た後は……マダム・Aで何とかしましょう。
そして、カイン王子は最後にアリーと2人で話し合いがしたいと、2人一緒に私の部屋を退室した。
これは!?もしや!?告白イベント!?凄く!それはもう凄く!!気になるけれど、ここはひとつ涙を飲んで我慢しましょう……過保護過ぎるお姉様大嫌いって言われたくないし……シクシク……
そして、翌日……アリーはカイン王子とした会話を教えてはくれなかった。けれど、その日、衝撃的な発表がされた。カイン王子とアリーの婚約が破棄されたのだ。これは、カイン王子が今回の一件でステインローズ家に迷惑をかけたという事で、アリーがキズモノ令嬢のように言われる事はなかった……
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