118.もしも他の方法をとっていたら……

「あの……言いづらいようでしたら無理に言わなくても大丈夫ですよ……?」


なんとなく言いづらそうな雰囲気を察して私がそう言ったが、アイリーン様は首を横に振った。


「いいえ。あの災厄に関わった以上、貴方には話さなくてはいけません。ですので、お話します」


アイリーン様はそう言って、私に昔起きた出来事を語り始めた。



そもそも、アイリーン様と双子の妹のセシリア様は、ウィンドガル王国より遠く離れた村で暮らしていたらしい。とても小さな村だったそうだが、その村は重大な役割を担っていた。

それは、人の負の感情によって出来る魔法を鎮める役割であった。その役割を担うのが、その村出身の選ばれた巫女なのだけれど、その巫女として、アイリーン様の双子の妹セシリア様が選ばれたのだ。


「巫女に選ばれた者は死ぬまで家族にすら会えず、祠で祈りを捧げ続けなくてはいけない……私はそんな事をセシリアにさせたくなくて、セシリアを連れて遠く離れた地で、セシリアを守る為の国を作りました」


うわぁ〜……まさか、国を作った理由が妹の為だったなんて……流石の私でも、アリーの為に国を作るなんて……可能かもね……


「しかし、私はあまりに子供で、その存在を甘くみていました……」


巫女が祈りを捧げなかった為、ソレは確実に強くなってしまい、とうとう力をつけたソレは、人の誰もが持ってる負の感情を操って、大勢の人を争わせた。そのせいで世界が争いで満ち溢れてしまったのだ。


「だから、私がソレを退治する事に決めました。しかし、いくら無属性の魔法や、魔法闘技マジックアーツを使っても、ソレにダメージを与えられるませんでした」


アイリーン様でもどうにか出来ないとか……もう本当に災厄そのものだわ……


「そして、ソレをどうにか出来ないのを見た妹……セシリアが……自分の巫女の力全てとソレをぶつかる事で、対消滅を起こしてソレを消滅させましたが、それは同時に私の妹セシリアも……」


消滅したってことか……うん。なんとなくアイリーン様が現在神になった理由が朧げながら見えてきたな。きっと、妹の死に耐えられなくて、自分も後を追って、それから自分と妹が暮らしやすくする為に神になったんだろうな……私だったらそうするし……


「けど……対消滅させたなら私が対峙したソレは一体……?」


「完全に消滅したと思っていたんですが、どうやらほんのわずか一部だけ消滅していなかったらしく、ソレが数年の時を経て、ステインローズ姉妹を利用してかつての力を取り戻そうとしたのです」


本当に最後の最後までしつこいやつだったようね。けれど、それでも最後はなんとか私達で終わらせてやったんだけどね!


「……今にして思えば、もっとセシリアと話して、セシリアと協力してソレと対峙すべきだったかもしれません。私はセシリアは絶対守らなきゃという想いばかりが先走って、妹と共に戦うという頭がなかった……もし、貴方達みたいにしていたら、もっと違った結果が得られていたかもしれません……」


アイリーン様は微笑を浮かべてそう言った。その表情からは後悔の念が浮かんでいた。


けど、私もアイリーン様と同じ考えだった。妹は守るべき。それこそが姉としての役割だと。

けれど、それは間違いだというのをあの2人から教わった。お互いがお互いを支え合って守ることこそが、姉の……いや、姉妹の役割なんだと教わった。


やっぱり!姉妹の絆は無限大ね!

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