117.ソレの正体

うん。女神さんらしき人と青年が登場したけれど、とりあえず最初に聞かないといけないわね。


「あのぉ〜……どちら様ですか?」


私は青年にそう尋ねた。そうしたら、青年は凄く驚いた顔した。


「ちょっ!?おい!?それはないだろ!?アンナ!ワシがあれ程お前を鍛えてやったというのに!?」


青年は私を見てそう叫んだ。ん?鍛えた……?そう言えばさっきも似たような事言ってたけど、もしかして……この人……!?

すると、女神らしき人物が青年の頭にチョップをくらわした。それをくらった青年は頭を抑えて悶絶する。


「マクバーン。その姿で彼女とは会った事ないんだから分かる訳ないでしょ」


「〜ッ!!?師匠の言いたいことは最もですけどね!?チョップでツッコミをいれる必要ないんじゃないですかね!!?」


私の考えが肯定されるような会話をする女神さんと青年。ってか、女神さんが青年の事をマクバーンって呼んだって事はやっぱり……


「もしかして……マクバーン師匠……?」


「もしかしなくてもワシだ」


マクバーン師匠らしき青年はそう言って立ち上がると、青年の周りに風が巻き起こり、一瞬で青年の姿は私のよく知るマクバーン師匠になった。


「本当にマクバーン師匠だったんですか!?若すぎて誰か分かりませんでしたよ!!?」


「ハッハハハハ!スマン!スマン!神世の世界の住人になって、姿形は自由に変えられるからな!かつての姿でいたのを忘れておったわ!」


豪快に笑うマクバーン師匠。ん?神世の世界って……そういえば私……刺されたわよね……まさか……運悪く致命傷で死んじゃったの!?


「いいえ。あなたが直前にかけた回復魔法であなたはちゃんと無事ですよ。他の人から見たら、あなたはただ眠ってる状態にしか見えないはずです。ここは間違いなくあなたの中の世界です。本来なら神である私は現世の住人の中に入る事は出来ない決まりになってるのですが、あなたは私が転生させた事もあり、こうしてあなたの中に訪れる事が出来るようになったのです」


私の心を読んだのか、女神さんが説明してくれた。良かった〜……死んだ訳じゃなかったのね……まだまだ、私は現世でアリーを溺愛し足りないものね……

ん?そういえば……マクバーン師匠がさっき、女神さんを師匠って呼んでいたけれど……まさか……女神さんの正体って……!?


「あのぉ〜……もしかして……貴方は……ウィンドガル王国の初代国王のアイリーン様ですか……?」


「はい。その通りです」


私が恐る恐る尋ねたら、ニッコリ笑って肯定する女神アイリーン様。ちょっ!?何でウィンドガルの初代国王が、神様になってるんですか!!?


「そうですね。それについて説明するにはまず、あなたが言うソレについて説明する必要がありますね」


私の中にいる為なのか、私の心は筒抜けらしく、そんな事を言ってくるアイリーン様。うん。確かに。結局ソレについては何も分からずに消滅させたのよね……。


「それで、結局ソレは一体何なんですか?」


「あなたの言うソレは、かつて私達が現世の人間だった頃に現れた災厄。人の負の感情の塊で出来た魔法です」


「魔法!?アレが!?どう考えてもソレには意思があったように見えたんですけど!!?」


ソレには確かに意思があった。憎しみとか怒りとか負の感情ばっかりだったけど、確かに意思らしきものを私はソレから感じていた。


「魔法とは良くも悪くも人の心の力。人の心がそれだけ強ければ、その魔法にも意思が宿った強い力になります。あなたの妹さんがそれを証明してますよね?」


確かに。よく考えたら、あのアリーはアリーの魔法の一部が、アリーの姉を助けたいという想いが形になって、意思をもっていたわね……。


「そして、ソレもまた同じく、人々の強く憎む心が集まって出来た全てを憎み破壊する魔法なのです」


だから、やたらとあんなに憎しみとかの感情ばかりだったのね……姿形を変えまくっていたのも、実は不特定多数の人物の憎しみが集まったせいなのかしら?


「けど……ソレがかつての災厄なら、アイリーン様達がどうにかしたんですよね?」


「……それを語るには、私のかつての失敗談を話さなくてはいけませんね。私がかつて、最愛の妹であるセシリアを失ったあの日の出来事を……」


アイリーン様は悲しそうな表情でそう言った……

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