112.魔法の力は魂に宿っている

魔法とは魂に宿っている


かつて、初代ウィンドガル王国の王であったアイリーン様は、魔法について聞かれてそう答えた。


魔法は人の想いによってその力を増し、怒りで魔法を放てば、魔法数値が低い者でもかなり強力なものになり、逆に体調が悪かったり、気分が乗らない時は、どれだけ魔法数値が高い者でも、大した力を発揮しない例を幾度か見たアイリーン様は、魔法の力は人の魂に宿ってるのではないかと考えたのだ。


ただ、この考え方は極論であり、根拠のないものであると批判を受けたらしいが、その考えは正しかったんだと、私は目の前の光景を見てそう実感した。


「助けなきゃ……!お姉様を……!助けなきゃ……!」


必死で力を使って「私」を覆っているアリーは、ソレに力を利用されていても、その心根は間違いなくアリー・ステインローズだ。

恐らく、あのアリーはアリーの魔法の力の一部。アリーの強い想い、心が形となって、必死で「私」を助けようとしている。だから、この娘も間違いなく私の妹のアリーで間違いはない。


ならば、ここは姉として間違った行いをする妹を正す必要がある。そう思っていたのだけれど……ふと、転生前の光景と違和感を感じ、よく見てみると


「………………」


「私」がアリーへの憎悪の想いを吐き出していなかった。「私」はアリーの力に覆われながら、目を閉じてまるで眠っているかのようだった……


「私」は言っていた。決着をつけると……つまりは、そういう事なんだろう……だったら、私は……


『憎イ!!憎イ!!憎イ!!何モカモ全テ憎イ!!!』


私はソレの対峙に集中させてもらいましょう!だから!「私」!そっちは頼んだわよ!!

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