111.アリー・ステインローズの姉、アンナ・ステインローズ

私が「私」の記憶を客観的に見る事が出来たおかげで、「私」が自分の愚行に悔いてる気持ちがある事に気づいた。

しかし、妹の想いと力を利用したソレにより、何度もあの屈辱的な日々の時間に戻され、次第にその悔いる気持ちを忘れてしまっていったのだ……


「……本当は……分かっていた……従者はもちろん……お父様やお母様も……私のせいで声をかけにくくなっていったのに……アリーだけは……いつも私に声をかけようとしてくれていた……なのに……私は……どうしても彼女を受け入れられなくて……それで……」


ポツポツと後悔の念を吐き出す「私」。その「私」の瞳には涙が流れていた。


「……どうする?この身体を貴方に返す?」


今の「私」なら、ちゃんとアリーと向き合う事が出来るはず。そう思って提案したのだけれど、「私」は静かに首を横に振った。


「心の弱い私じゃ……貴方の言うソレがいなくなったとしても、また同じ事を繰り返してしまう……だから……貴方の中で混ざり合って消えるわ……」


「私」はそう言って静かに立ち上がった。その瞳は決意に満ちた目をしていた。


「けど、それはまだ待ってほしい……「私」にはつけなくちゃいけない決着があるから……だから、その決着をつけさせてほしい……」


「私」は真っ直ぐ私の目を見てそう言った。その瞳の本気さを感じた私は黙って頷いた。すると、「私」は微笑を浮かべ


「私にこんな事を言う資格はないけれど……妹を……アリーをよろしくね……」


「私」は微笑を浮かべながらそう言うと、私の目の前からスーッと音もなく消えていった。


「資格ならあるわよ。貴方も間違いなく、アリー・ステインローズの姉、アンナ・ステインローズよ」


最後の私の呟きが「私」へと届いたかは分からないけれど、私はそう呟かずにはいられなかった。



そして、私は再び真っ暗な空間を歩み続ける。私がまだ会わなきゃいけない人は他にもいる。それは……


「助けなきゃ……!お姉様を……!助けなきゃ……!」


アンナ・ステインローズを救う為、その心をソレに利用され続ける、アリー・ステインローズ……いや、アリー・ステインローズの魔法が、アリーの想いを受けて形となったもの。アリーであって、私の知るアリーじゃない存在。


それが、私がアンナ・ステインローズに転生する前と同じように、力を使って「私」を覆っていた……

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