108.やっぱりこの人は最強です
一方、ヴァン王子達の方は……アンナの予想通り苦戦を強いられていた。ヴァン王子達は出来るだけカイン王子達を無傷で無力化させたいという想いと、ヴァン王子に傷をつけさせない為、ヒエンとレイカはほぼ防御に力を注いでいる為、まともに攻撃魔法が放てない状況だった。
「おい!もう俺の事は気にせず!自分達の身を守る事を優先しろ!」
ヴァン王子を守る為、ヒエンとレイカは代わりに攻撃を受け続け為、2人はすでにボロボロだった。
「そういう訳にはいきません……」
「貴方はまだアンナ様の婚約者です……傷を負わせたりしたメイドの名折れです……」
「お前達……しかし……」
そんな時だった……
「ふふふ……メイドちゃん達はなかなかメイド魂だけど、うちの弟達は本当にダメダメね〜……」
突然そんな声がしたのでヴァン王子達は声がした方を振り向くと、そこには、紫炎を纏ったヴィオル・アスカルド侯爵令嬢が立っていた。
「1人はかつての災厄に乗っ取られてるし、1人は女の子2人に守られてる状態だし……本当にダメダメね〜……」
「うぐっ……!?」
ヴィオルの言葉を受け、ヴァン王子は言葉を詰まらせる。ヴィオルはカイン王子達を睨みつける。その迫力に一瞬たじろぐも、すぐにヴィオルに対しても敵意の視線を向けるカイン王子達。
「ふ〜ん……私のひと睨みであの子が土下座しないなんて、仮にも災厄の力の一部って訳か……」
「いや……流石に土下座は……するかもな……」
流石にカイン王子でも土下座はしないと思ったヴァン王子だったが、ヴィオルの恐ろしさをよく知るヴァン王子はすぐにそれを否定した。
「本当は元凶を叩くつもりだったのだけれど……ね……」
ヴィオルはある一点、今は使われていない空き教室の窓を注視する。
「何故かしらね。アンナちゃんなら何とかしてくれる。そんな気がするのよね〜。だから…………」
ヴィオルはそう言って、紫炎の爆風で一気にカイン王子達の所に詰め寄り
「私は不出来な弟達へお仕置きしようかしらね!」
そう言ってヴィオルはカイン王子達に……ゲンコツを一発ずつお見舞いした。それを受けたカイン王子達は……頭に大きなたんこぶを作って全員気絶した。そのゲンコツがあまりに強かったのか、カイン王子達に纏わりついていた黒い靄が無くなっていた。
ヴァン王子はそんなヴィオルを見て思わず呆れの溜息をつき、あのゲンコツの痛さを知るヴァン王子はカイン王子達に合掌した。しかし……
「あら?ダメじゃない?これぐらいで気絶しちゃ、貴方達へのお仕置きはまだ終わってないのよ」
と、言って更にゲンコツを叩き込む。そして、更に頭にたんこぶが出来てしまうカイン王子達。
「あの……ヴァン王子……」
「止めるべきでは……?」
ヒエンとレイカが思わずそう尋ねるが
「やめておけ。止めた俺たちも巻き添えをくらう。とりあえず死ぬまでゲンコツをくらわすなんて事はないはずだよ。多分……恐らく……きっと……」
最後物凄く曖昧な言葉を返すヴァン王子は、ヒエンとレイカにジト目で睨まれた。
ヴィオル・アスカルド侯爵令嬢。彼女は「紫炎」以外にもこう呼ばれていた。彼女の本当の立場と、理不尽なまでの力で色々な物事を解決する事から、「理不尽女王」と……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます