106.捕らわれたのは果たしてどちらか

一方、エリザベス・マグダエル公爵令嬢の現専属メイドであるサクラを追ってキョウカが辿り着いた場所は……


「エリザベス様の別宅ですか……まぁ、ある程度予想の範囲内ではありますが……」


キョウカも昔エリザベス公爵令嬢の専属メイドだったので、この屋敷の地図は全部頭に入っている。故に、3人の偽証した令嬢がどこにいるかも検討がついていた。


「恐らくは屋敷の地下牢ですよね〜。色々不都合なのを隠すにはもってこいですし」


この別宅には地下牢が存在していた。もしも、屋敷に侵入してきた不埒者を捕らえる為に作られたらしいが、正直、公爵家の屋敷に侵入する事自体が難しいので、地下牢は半分貴族の趣味的な要素も含まれている。


「さて……それじゃあさっさと終わらせましょうかね〜」


キョウカは早速動き出した。屋敷の防衛の為の騎士は魔法や自分の体術でさっさと眠らせ屋敷に侵入。そして、そのまま地下牢までの道をさっさと進む。

そして、地下牢までアッサリたどり着いたキョウカは令嬢達の気配がする牢を見つけ、早速そこに行ってみたら、アンナに罪を偽証した令嬢達が気を失って倒れ檻に入れられていた。


「まぁ、正直助け出す義理はないんですが、アルフ様にこってり絞って本当の事を言ってもらわなきゃいけませんし、恨まないでくださいね?」


アルフによってコッテリと絞られる令嬢達を想像して、思わず苦笑を浮かべてそんな事を言ってしまうキョウカ。


「ふふふ……やはりここまではたどり着きましたか。そうでなくては、面白くありませんね」


突然そんな声が聞こえたので、キョウカは誰かは分かっていたが、一応振り向くと、そこにはエリザベス公爵令嬢の現専属メイドのサクラが微笑を浮かべて立っていた。


「ここまでたどり着けたのは褒めてあげますよ。私の何個も仕掛けた罠魔法はいかがでしたか?」


サクラは微笑を浮かべながらそう聞いた。が、その肝心のキョウカは何も答えない。


「ですが……本当の罠はこの地下牢にあるんですよ。あなたは仮にも私より優秀と言われたメイド、ここまでたどり着くのは分かっていました。だから、この地下牢には私以外魔法を使えなくなる結界に、プラスして闇属性の魔法限定で魔法を使用できなくなる結界魔法もはらせていただきました」


サクラは結界と罠魔法の使い手だった。更に腕も優秀で、結界魔法を二重にはる事ぐらい訳なかった。


「ふふふ……私の罠魔法のせいでだいぶ体力を使った上に、魔法を使えなくなったあなたを倒すのは簡単。あなたを倒して私が1番優秀なメイドだと証明しましょう」


そう言ってサクラは武器を取り出す。どうやら彼女もキョウカと同じく暗器使いのようだ。サクラはすでにキョウカを落としたつもりだった。この地下牢にキョウカが来た時点で、自分の勝ちは明確になったと……


しかし、彼女はまるで分かっていなかった。キョウカの事を……そして、サクラはそれを身をもって知ることになる……

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