105.ここは任せた!!

あぁ……どうして今まで気づかなかったんだろうか……様子がおかしいのは分かっていたのに……多分、カイン王子達に纏わりついてるのはソレのほんの一部。私へのちょっとした嫉妬心を利用されたみたいね……。ん?というか……同じ攻略対象者であるヴァン王子は私への嫉妬心はないって事?何で?


「あれは……兄上達に絡みついている黒い靄は一体……?」


「ヴァン王子!?アレが見えるんですか!?」


「お前も見えているのか……てっきり俺だけが見えてるものだと思ったが、そうじゃないんだな……」


むしろ私もそう思っていたんだけれど……ヴァン王子が王族だからそれで?それとも、もうその日は来たから隠す必要がなくなったから?どっちも有りそうだけど、今はそんな事を考えている余裕はないわね……


「恐らく!カイン王子達はあの纏わりついてる黒い靄のせいでおかしくなってるんだと思います!」


「だろうな。俺もそう思う」


「だから……」


「だから、お前は先に行け」


「えっ?」


ヴァン王子の言葉に思わず固まってしまう私。そんな私を見てヴァン王子は微笑を浮かべ


「妹を救うのがお前の役目なら、兄上を救うのが俺の役目だ。だから……早く行け!」


ヴァン王子の言葉に素直に甘えたいが、ヴァン王子1人だけでは、カイン王子達を相手にするのは危険すぎる。


その時、カイン王子達の周りを炎と氷の壁が覆う。これって……私は後ろを振り向くと、ヒエンとレイカが魔法を行使していた。


「アンナ様!行ってください!ヴァン王子もカイン王子達も何とかしてみせます!!」


「お叱りは後でいくらでも受けます!けれど!やっぱりアリー様を救うのはアンナ様です!だから!早く!!」


ヒエンとレイカは私の背中を押すようにそう言う。

正直、ヒエンとレイカが加わっても、時間を稼ぐ事しか出来ないとは思った。向こうは4人でどの方も優秀だし、こっちは3人で優秀ではあるけれど、向こうが本気で攻めてくるのに対して、こちらは向こうを何とか取り押さえようと強力な魔法は使えない。


けれど、ここで私が行かなかったら、3人の気持ちを無駄にしてしまうわね。だから……


「ここは任せた!!」


私はそれだけ言って目的の場所まで全力疾走した。






カイン王子達は魔力弾で炎と氷の壁を吹き飛ばし、カイン王子はヴァン王子を睨んだ。


「ヴァン……!それにそこにいるメイドの娘達も……!自分達が何をしているのか分かってるんですか?」


「それはこっちのセリフだ。兄上。兄上の目は俺が覚まさせる。王族として、同じ血をわけた兄弟として……!」


カイン王子達とヴァン王子達の激突が今ここに始まった……

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