103.私が転生した日
私はフヨフヨと浮きながら移動していた。今の私には肉体がなく、恐らく魂だけの存在になってるのだろう。
まさか、お化け苦手な私がお化けのような存在になるなんて思いもしなかったけど……
そんな私はひたすら謎の声に導かれるままに移動していた。
「……けなきゃ……お姉様を……助け……なきゃ……」
あまりに悲痛な声で姉を助けようとしている妹の声に、妹好きの私が黙ってる訳にはいかず、フヨフヨと遅いスピードながらも必死で声がする方へと移動する私。
そんな風に何時間にも感じて移動し、辿り着いた先で私が目にしたのは……
「憎い……!憎い……!憎い……!あの娘が……!私から何もかも奪っていくあの娘が……!憎い……!」
これが声が言っていた姉らしき人物だろうか?やたら黒い靄のような物に取り憑かれ、憎しみを増大させられてるように私は感じていた。
そして、その姉の真上では……
「……けなきゃ……!お姉様を……!助けなきゃ……!」
恐らくこの娘が私を導いた声の主なのだろう。姉を助けたいと、何かの力で姉を包み込んでいる。
憎しみに囚われてる姉の為、必死で救う為に妹が力を使ってそれを救おうとしている。それは、とても美しい姉妹愛の光景に見える。けれど、私にはそれが逆効果のように感じた。姉を力で閉じこめる事で、姉に取り憑いてるソレは徐々に力を増して、姉の憎しみは更に増加し続けているように私には見えた。
私はどうにかしなきゃダメだと姉を捕らえてるその力を体当たりで壊そうとするも、肉体もない魂だけの体当たりではその力を破壊する事は出来なかった。
すると……
「まさか……魂だけの存在がこんな所にやって来るなんて……」
私の前にこの世の者とは思えないような美女が姿を現した。なんとなくだけど、私はこの人が女神様なんじゃないかと思った。その女神様はしばらく私を観察し
「貴方に賭けてみようと思います。私のかつての力も貴方に授けます。だから……この姉妹を……救ってください」
女神様はそう言うと私に触れた。触れられた私は凄く力が溢れてくるような感じがした。そして……
「……お姉様を……!助けなきゃ……!」
再び私を導いた声の主が力を使って姉を覆うとした。その瞬間を見計らったかのように、女神様は私をその姉に向かって投げ、そして……
「おねえさま〜!?まって〜!?」
「うふふ……!アリー!こっちよ!はやくいらっしゃい!」
こうして、私はアンナ・ステインローズに転生した……
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