番外話.メイドの日
今日、5月10日は私の前世の世界ではメイドの日である。
何故メイドの日と呼ばれているかは分からない。きっと国の偉いメイド好きの人がそう定めたのかもしれない。
まぁ、そんな事はどうでもいいわね。とにかく!今日はメイドの日なの!分かる!?分からない?ホワイ!?何故分からない!?メイドと言ったら妹メイドでしょう!!(断言)
ほら!見てみなさい!「カク◯ム」で!姉妹!百合!のワードで検索かけてみなさい!今日は妹メイドな話で溢れてるはずだから!えっ?別にそんなに溢れてない?それは貴方に妹ラブパワーが足りてないからよ!妹ラブパワーをアップさせて出直してきなさい!
コホン!話が逸れたわね。つまり、今日は妹メイドの日だから(異論は認めない)、ここはやっぱり我が最高に可愛い天使過ぎる妹にメイド服を着てもらうしかない!そう思ったのだけれど……
「どうしてこうなった……?」
「きゃあぁ♡お姉様♡可愛い♡可愛いです♡お姉様♡」
我が天使妹のアリーが魔法映写機でパシャパシャと私を撮っている。撮られてる私は……何故かメイド服を着ている……本当にどうしてこうなった……?いや、まぁ、私の自業自得ではあるんだけど……
妹に今日は何がなんでもメイド服を着せたい。そう思った私はアリーにチェスで勝負をしないかと誘った。
「はい。構いませんよ」
私の誘いに簡単に頷いてくれる今日も可愛い私のアリー。とりあえず、これでアリーを勝負に持ち込む事には成功。後は……
「ねぇ、アリー。どうせだったら賭けをしない?」
「賭け……ですか……?」
「そう!ただ勝負するだけじゃつまらないじゃない!だから!ね!?」
「はぁ……いいですけど……何を賭けるんですか?」
よし!いいわよ!アリーにここまでの言葉を引き出す事に成功したわ!いけるわよ!私!
「そうね〜……負けた人は今日一日メイド服を着る……なんてどうかしら……?」
私はチラリとアリーを見ながらそう言った。その瞬間、アリーはいつもの笑顔だけど、その笑顔からとてつもないプレッシャーを感じた。えっ?何?この強烈なプレッシャー!?アリーってまさか◯ュー・◯イプなの!?
「その勝負。お受けします♡」
アリーはニッコリ笑ってそう言った。そう言ったアリーから先程のようなプレッシャーは感じなかったから、私はホッと安堵して、私はアリーにメイド服を着せる為に気合を入れる。
正直、前世ではチェスは全くやった事がなく、今世では貴族の遊びだからと、ルールとやり方を教わった程度だが、それはアリーも同じ。同じ条件なら私にも十分勝ち目があるはず!
と、思っていた時期が私にもありました……。
結果は……黒(アリーの駒)の駒達が、白(私の駒)のキングを取り囲んで逃げ場がない状況にされていた。ちなみに、私の味方は1人残らず全滅されている。普通にチェスやっててこんな状況になるはずないんだけど……おかしいなぁ〜……
そして、惨敗した私がメイド服を着る事になったのだった……
「う〜ん……お姉様のメイド服姿はとっても!可愛いんですが……まだ足りないというか……いまいちメイドっぽくないと言いますか……」
「いや……まぁ……私メイドじゃないしね……」
メイドっぽくしろって言われてもどうしたらいいのか分からないし……
「あっ!でしたら……」
キョウカは私にゴニョゴニョと耳打ちする。
「ちょっ……!?無理よ……!?そんな恥ずかしいセリフ……!?」
「ですが、勝負に負けたのはお嬢様ですから、ここはアリー様の要望に応えるのが筋かと」
うぐっ……正論だから何も言えないわ……そのセリフだけでメイドっぽくなるかは分からないけど、現役メイドであるキョウカが言うんだし、やってみるだけやってみるか……恥ずかしいけど……
「何でもご奉仕いたします。お嬢様」
私は若干顔が赤くなるのを感じながらも、何とか作り笑顔を浮かべてアリーにそう言った。
すると、アリーは笑顔を浮かべ、親指をグッと立てて……その状態のまま倒れていった。
「ちょっ!?アリー!?しっかりして!?アリー!!?」
「これはまた……」
「いつもとは違うパターンですね」
「逆に新鮮ですね〜」
「ちょっ!?あんた達見てないでアリーの介抱手伝いなさいよ!!?」
結局、この後すぐにアリーは起き上がり、何回もあのセリフをリクエストされるハメになり、私の精神的な何かがガリガリとすり減っていく一日になった。妹メイドにして私の活力を漲らせるはずが……本当にどうしてこうなったのか……
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