101.早速妹成分が足りません……

翌朝、アンナ・ステインローズの罪を告発した令嬢達はとある者の従者に会っていた。


「約束通りアンナ・ステインローズの罪の偽証をいたしましたわ!」


やはりというべきか、彼女達はとある者に頼まれて、アンナにその罪を被せる偽証をするように指示したのだ。というのも……


「これで本当に我が家の借金をどうにかしていただけるのですか……!?」


彼女達の家は貴族ではあるが、多額の借金を背負っていた。それを事前に調べたその従者が彼女達に目をつけ、自分がとある者の従者である事を告げ、彼女達の家の借金をどうにかする代わりに、アンナに罪を被せる偽証をするように依頼したのだ。当然、偽証がバレた際の保証も込みでだ。

そして、借金に苦労している彼女達はその話に飛び込んでしまった。何故なら、彼女達はとある者なら自分達の借金をどうにかするぐらい出来ると知っているから……


「はい。もちろん。貴方達がしばらく大人しくしていただければ……」


そう言って薄く笑ったその従者は、瞬時に彼女達の背後をとって、手刀を当てて彼女達を気絶させた。


「ふふふ……主を見つけ腕を自堕落させてる貴方より、私の腕を存分にふるわせてくれて、その腕に見合った報酬をくれる主に仕えてる私の方が優秀なんですよ。キョウカ……」


そう言って、現エリザベス・マグダエル公爵令嬢の専属メイドであるサクラは冷笑を浮かべ、令嬢達3人を馬車に乗せ馬車を動かした。


が、サクラはまだ気づいていない。自分を追う者の存在に。その存在は完璧に気配を消しながら、馬車を見失う事なく、驚異的なスピードでついて行き、サクラが先程やった行為もばっちりと記録してる事に……


そして、その存在こそ、サクラが目の敵にしているキョウカその人である事に……





「妹成分が足りない……」


「まだ謹慎処分を言い渡されて半日も経ってないのに何を言ってるんですか……」


私が寮の部屋の机に突っ伏してそう呟いたら、呆れたような溜息をつくヒエン。仕方ないでしょ……半日だろうと1時間だろうと……妹に会えないというのはそれだけで私には死活問題なのよ……っていうか……


「何でヒエンがここにいるのよ!?アリーについてなきゃダメでしょ!?」


私は思わず今更な質問をしてしまった。ダメね。妹成分が足りてないせいで脳味噌の処理が出来てないせいね。コレは。


「そのアリー様の希望です。どうせお姉様の事だから、キョウカを真犯人探しに使っていて、自分の身の周りの世話をする人をつけてないだろうからと……」


うぐっ……!?流石は我が妹アリー……私のやる事を完璧に見抜いてるわね……


「まぁ、でも流石に今回ばかりはアリー様があからさまに狙われてますから、私達のどっちかを必ずつけるようにはさせてほしいと言って、まぁ、このような形に……」


なるほどね……つまり、今はレイカがアリーについてる訳か……まぁ、それが妥当な落とし所ね……私的にはかなり不満なんだけど……今からヒエンに屋敷のお抱え騎士を派遣するようにお願いしようかしら?


「まぁ、とにかく、たまにはアンナ様もゆっくり休まれてはいかがですか?キョウカもすぐに帰ってくるでしょうし。アンナ様が書いた本の言葉にもあるでしょう「果報は寝て待て」って」


あぁ、私の前世の世界のことわざね……確かに小説にそんな言葉を書いた気がするけど……正直眠れる気がしないわ……妹成分がってのもあるけど、何故か妙な胸騒ぎもしていて、なかなか寝つけないっていうか……実際、昨日の夜もあまり寝てないし……


けれど、そんな私の想いとは裏腹に、私の視界は閉ざされ、意識が……あれ?やっぱり昨日寝てないのが今きたのかしら……


私はあっさりと夢の世界へと落ちていく……

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